結婚しても職場で旧姓を通称として使い続けたい人は3割強(2019年公開版)

↑ 婚姻により名字を変える必要がある時に、職場では旧姓を使い続けたい人は。(写真:アフロ)

日本の婚姻では「婚姻状態にある夫婦が同じ名字(姓)を名乗らねばならない」とするのが現行の法令制度。法務省の見解は【選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について】にある通りで、「婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題である以上、国民の理解のもとに選択的な夫婦別氏制度の導入がなされるべきである」とし、現状では否定的な意見が多分を占めているとの認識を基に、否定的な見解を展開している。それでは戸籍上の名字(姓)が変わった後に、法的には問題の無い通称として、職場で旧姓を使いたいと思う人はどれほどいるだろうか。内閣府が2019年11月に発表した「男女共同参画社会に関する世論調査」(※)の結果から確認していく。

日本の現行法では法的に選択的夫婦別氏、つまり婚姻前の旧姓を婚姻後も引き続き使い続けることは認められていない。一方で、ペンネームのような形で通称として旧姓を用いることは、その環境下で許容されている限り何の問題もない。

それでは回答者自身が仮に結婚して(結婚している人は当然その状況下で)名字が変わった場合、働くときに旧姓を通称として使いたいと思うか否か、その判断を択一で答えてもらった結果が次のグラフ。全体としては3割が使いたい、6割が使いたいとは思わないとの結果となった。

↑ 仮に結婚して戸籍上の名字(姓)が変わったとした場合、働く時に旧姓を通称として使用したいと思うか(男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 仮に結婚して戸籍上の名字(姓)が変わったとした場合、働く時に旧姓を通称として使用したいと思うか(男女別・年齢階層別)(2019年)

実状としては個人の心境以外に就業環境や職種、さらには就業年数や立場、そして子供のいる・いないなどで大きな差異が生じうるため、あくまでも一般論的な話となるが、通称としても旧姓を使いたい人は3割ほどいることになる。男女別では男性が4割強なのに対し、女性は2割台ほどにとどまっている。

年齢階層別ではおおよそ若年層ほど希望者が多く、18~29歳では46.1%もいるが、70歳以上では20.6%に留まっている。この類の調査では高齢層ほど「分からない」の回答率が高まるのが常だが、今件では70歳以上の区切り以外はその傾向が見られない。高齢層にも関心の高い、こだわりのある話なのかもしれない。

これを男女別と年齢階層別でクロス区切りをした上で見たのが次のグラフ。

↑ 仮に結婚して戸籍上の名字(姓)が変わったとした場合、働く時に旧姓を通称として使用したいと思うか(男女別×年齢階層別)(2019年)
↑ 仮に結婚して戸籍上の名字(姓)が変わったとした場合、働く時に旧姓を通称として使用したいと思うか(男女別×年齢階層別)(2019年)

男女ともに50代でいくぶん使いたいと思う人の割合が増えるイレギュラーが生じているが、男女の年齢階層別における動きの傾向に差異はあまり見受けられない。若年層ほど旧姓を使いたいと思う人は多く、年を取るに連れて少なくなっていく。男性の18~29歳は過半数に達している。男性に限れば18歳~30代と50代は、旧姓を使いたいと思う人の方が多いのが実情。

居住地別や回答者の未既婚別では次の通り。

↑ 仮に結婚して戸籍上の名字(姓)が変わったとした場合、働く時に旧姓を通称として使用したいと思うか(居住地など別)(2019年)
↑ 仮に結婚して戸籍上の名字(姓)が変わったとした場合、働く時に旧姓を通称として使用したいと思うか(居住地など別)(2019年)

居住地別では都市圏、特に東京都区部における希望率が高く、4割台に達している。地方に行くほど思う人の比率が下がるのは、古来の慣習の浸透度に加え、年齢階層別の居住者率の差異がそのまま表れているのだろう。

他方、未既婚別では未婚者における希望率が突出して高く、有配偶者や死別・離別者の値は低め。それぞれの立ち位置における新姓の意味を考えれば、理解はできる動きといえよう。

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※男女共同参画社会に関する世論調査

数年に一度、不定期の形で実施されているもので、直近分は2019年9月5日から9月22日にかけて、日本国内に居住する18歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段無作為抽出法によって抽出された者を対象に、調査員による個別面接聴取法で行われた。有効回答数は2645人。男女比は1238人対1407人。年齢階層比は18~19歳55人・20代186人・30代279人・40代445人・50代448人・60代520人・70歳以上712人。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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