一般週刊誌の部数動向をさぐる(2019年7~9月)

↑ スーパーやコンビニでも見かける一般週刊誌。その部数は(筆者撮影)。

すき間時間を埋める最良の存在だった一般週刊誌は、スマートフォンの普及に伴い売上の厳しさという現実に直面している。その実情はいかなるものか、一般週刊誌における販売動向を、日本雑誌協会が四半期ベースで発表している印刷証明付き部数(※)から確認する。

次に示すのは一般週刊誌のジャンルに該当する雑誌の、直近にあたる2019年7~9月における、前年同期比の部数動向。写真を中心に記事を展開する、いわゆる写真週刊誌も含む。印刷物は季節により販売数の変化が大きく生じるため、季節変動を考慮しなくてもよい前年同期比の方が、すう勢を確認するのには適している。

↑ 印刷証明付き部数変化率(一般週刊誌、前年同期比)(2019年7~9月)
↑ 印刷証明付き部数変化率(一般週刊誌、前年同期比)(2019年7~9月)
↑ 印刷証明付き部数(一般週刊誌、万部)(2019年7~9月)
↑ 印刷証明付き部数(一般週刊誌、万部)(2019年7~9月)

「印刷証明付き部数を収録している雑誌に限定しているとはいえ、最低でも10万部の印刷部数は確保されている」とのフレーズがしばらく前まではテンプレート化されていたが、まず「サンデー毎日」が10万部を割り込んでしまい、その状態が今期も継続している。そして「AERA」が「10万部割れ倶楽部」の仲間入り。特に「AERA」の衰亡ぶりは著しく、部数がほぼ一直線に減っている状態。今期はかろうして前期比でプラスとなったが。

↑ 印刷証明付き部数(AERA、部)
↑ 印刷証明付き部数(AERA、部)

2017年初頭でようやく下落が止まり底値を打ったかに見えたが、2017年末あたりからは再び前期比で下落の動きの中にある。

それ以外の雑誌は、相応の需要は「今のところ」維持されていることになる。想定購読層が幅広い一般週刊誌ならではの値といえる。「SPA!」もやや危うい部数だが、同誌の部数はおおよそ横ばいを維持しているので、こちらは「10万部割れ倶楽部」への入会はなさそう。

↑ 印刷証明付き部数(SPA!、部)
↑ 印刷証明付き部数(SPA!、部)

ただしこの数期は微妙に前期比でマイナスを示し続けており、10万部のラインをぎりぎりで上回る状態になっている。何かアクシデントの類があれば、すぐに「10万部割れ倶楽部」入りしてしまう可能性はある。

前年同期比でプラス領域にあるのは皆無、全誌がマイナス。誤差領域(5%幅)を超えての下げ幅を示しているのはそのうち9誌。あまりよい状況とは言い難い。かつては新聞同様、電車やバスなどの通勤・通学時の合間には欠かせない存在だった一般週刊誌も、その需要は確実にスマートフォンなどに奪われ、肩身の狭い想いをしている、さらに継続的なプレッシャーを受けていると見てよいだろう。

ただし少なからずの雑誌は同時に電子雑誌版も刊行しており、その値は今件では勘案されていないため、そちらに読者を奪われている(=雑誌としてのコンテンツ力・訴求力は失われていない)可能性は否定できない。

昨今何かと世間を騒がせている「週刊文春」だが、前年同期比でマイナス6.7%、参考までに前期比を算出するとマイナス2.1%。よい状況とは言い難い。絶対部数の多さに支えられてはいるものの、中長期的な低迷感の中にあることは否定できない。

↑ 印刷証明付き部数(週刊文春、部)
↑ 印刷証明付き部数(週刊文春、部)
↑ 印刷証明付き部数(週刊文春、万部)(過去5年間)
↑ 印刷証明付き部数(週刊文春、万部)(過去5年間)

部数はゆるやかな下落傾向が継続している。昨今の動向はある意味、低迷のテコ入れ的な活動との解釈もできよう。

大きく落ち込んだ雑誌のラインアップを再確認すると、「週刊新潮」「サンデー毎日」「週刊現代」「週刊アサヒ芸能」といった、男性向けの大衆誌、あるいはゴシップ系雑誌が多分におよぶ。似通った内容に個性を出しにくくなってしまったのか、あるいは対象年齢階層の趣向そのものに変化が生じているのかもしれない。

また写真を記事構成のメインとする「FLASH」「FRIDAY」も減少度合いが著しい。速報性が高くビジュアルも豊富なスマートフォン経由のニュースの方が、価値は高いとの認識による結果だろうか。

繰り返しになるが、今件はあくまでも「印刷」証明付き部数のため、電子版も並列配信している雑誌の場合、そちらに読者の一部を奪われていることになる。その結果、印刷証明付き部数が雑誌全体の勢いをそのまま反映するわけでは無いことに注意が必要。とはいえ、紙媒体としての雑誌のすう勢には違いなく、部数が減っているのもまた事実ではある。

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※印刷証明付き部数

該当四半期に発刊された雑誌の、1号あたりの平均印刷部数。「この部数だけ確かに刷りました」といった印刷証明付きのものであり、雑誌社側の公称部数や公表販売部数ではない。売れ残り、返本されたものも含む。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。