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メディアの信頼度を海外ニュースの情報源としての観点からさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 世界がつながっている以上、海外の情報は大切。どこからの情報が信頼できるか。(写真:アフロ)

海外ニュースに関して一番信頼されているのは新聞

実のところ情報の正確さはどこが伝えるかによるところが大きいのだが、発信メディアそのものが大きな判断材料となるのが現状。今回は総務省が2019年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、海外の各種ニュースの情報源としての観点から、各メディア単位での信頼の度合いを確認する。

まずは調査対象母集団全体の平均値。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(海外ニュース)(2018年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(海外ニュース)(2018年)

新聞がトップ、テレビがそれに続き、ラジオがいくぶん低いものの、実質的には同レベルの状態。4マスでは唯一雑誌が低いが、これはコンビニの棚などでよく見かける一般大衆誌までも含めて雑誌全般との認識で回答されているからだと考えられる。

インターネット系ではインターネットニュースサイトの信頼度は高く1.61。次いでソーシャルメディア、動画共有サイト、ブログなどと続くが、ニュースサイト以外は基準値の1.50を割り込んでおり、どちらかといえば信頼できない範ちゅうに該当することになる。

年齢で違いが生じる!?

続いて各属性別の違いを確認する。まずは男女別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(海外ニュース、男女別)(2018年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(海外ニュース、男女別)(2018年)

全項目で女性の方が高い値となっている。これは利用傾向そのものも多分に影響していると考えられる。もっとも、テレビやラジオ、新聞、インターネットニュースサイトが信頼できる範ちゅうで、それ以外は信頼ができない領域であることに違いは無い。

続いて年齢階層別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(海外ニュース、年齢階層別)(2018年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(海外ニュース、年齢階層別)(2018年)

おおよそ全体値で信頼できる範ちゅうにあるメディアは、ラジオを除けば10代以外はあまり大きな違いが生じていない。一方で元々値が低いメディアは年を取るに連れて信頼度も下がる動きにある。動画配信・共有サイトで50~60代でやや値が回復するのは、テレビと重ねて考えているからかもしれない。

先行記事でも似たような傾向が出ているが、10代の信頼度が他の年齢階層と比べると突出する形で高いのは、幼い時からメディアとの接触に積極的となる一方(今件調査結果では元からその情報に関する情報取得元として該当メディアを利用していない場合、平均値の算出には考慮されない)、虚報や誤報の類との接触経験が少ないため、他の年齢階層と比べて純朴な状態で情報に接している結果かもしれない。

続いて就業形態別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(海外ニュース、就業形態別)(2018年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(海外ニュース、就業形態別)(2018年)

特に際立った傾向は無いが、無職の値が全般的に低めに出ている、特に信頼度の低い項目で大きく落ちているのが目に留まる。無職に該当する人の多分は高齢層だからだろうか。

またその一方でフルタイムでも全般的に値が低めに出ているのは、興味深い傾向ではある。仕事などで海外の情報を使う機会があることから、鵜呑みにはできないとの姿勢を示している、さらには疑った通りの結果となった経験をしているからなのだろうか。

最後は世帯年収別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(海外ニュース、世帯年収別)(2018年)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(海外ニュース、世帯年収別)(2018年)

ラジオや新聞、雑誌はほんのわずかではあるものの高世帯年収ほど高い信頼度を示すようだが、ソーシャルメディアや動画配信・共有サイトでは低世帯年収ほど高い信頼度を示している。世帯年収そのものでメディアの信頼度に影響が生じると見るよりは、年齢階層に引っ張られていると見た方が妥当性はある。

世帯年収区分や学生・生徒による変化はあるものの、おおよそ信頼度の変化は世代(年齢階層)によるところがある。各メディアに慣れ親しんだ期間の違いがそのまま、それぞれに対する信頼度に浅からぬ影響を与えているかもしれない。その仮説が正しければ、今後10年単位の変化の中で小さからぬ信頼度のシフトが生じることもあり得よう。

もっとも10年単位でメディアそのものの姿かたちそのものも大きな変化を示すに違いないのだが。

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※平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2019年2月23日から3月1日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

なお今調査は例年11~12月にかけて行われるが、直近分は翌年の2~3月となっている。グラフや本文上の表記や考察は、報告書に準ずる形で2018年と表記する。また調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが生じているが、報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。

今件項目では主要メディア、具体的にはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、そしてインターネットに関してはインターネットニュースサイト、ソーシャルメディア、動画配信・共有サイト、ブログ・その他サイトに細分化した上で、日本国内の政治や経済に関する情報源として、どの程度信頼できるかを「非常に信頼できる(3)」「ある程度信頼できる(2)」「あまり信頼できない(1)」「まったく信頼できない(0)」「そもそもその情報源を使わない、知らない」のいずれかから回答者自身の考えにもっとも近い選択肢を一つ、選んでもらっている。その上で、「そもそもその情報源を使わない、知らない」以外の回答に関して割り当てられた数字の平均を信頼度として算出している。全員が「非常に信頼できる」と答えれば3.00、「まったく信頼できない」なら0.00となり、値が大きいほど大きな信頼が寄せられていることになる。

一方この方法では「そもそもその情報源を使わない、知らない」の回答者は信頼度算出の際には除外されている。この回答者の中には「信頼がおけないので使っていない人」がいる可能性も否定できず、現実の信頼度は算出値よりもいくぶん低いと見た方が無難ではある。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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