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20代の新聞閲覧率は1割足らず…主要メディアの利用状況をさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ビジネスには購読は欠かせないと主張する新聞もあるが。(写真:アフロ)

平日と休日、それぞれの年齢別メディアの利用状況

メディアの進化が加速的なスピードで進む昨今、年齢階層間のメディアギャップが問題視され、注目を集めている。シニアと若年層との間の利用メディアの差は非常に大きく、いわゆる世代間格差(ジェネレーションギャップ)は社会問題化にすらなりつつある。今回は、総務省が2019年9月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の内容を基に、年齢階層別の主要メディアの利用状況を行為者率の視点から確認する。

次に示すのは主要メディア(雑誌は欠けているが)の年齢階層別平均行為者率を示したもの。「行為者率」とは該当する区切りの期日、今件の場合は1日単位でその行為をした人の割合を示す。いわば利用者率である。例えば平日・テレビ(生放送)・10代の値は63.1%とあるので、10代で平日1日にテレビを連続で10分以上(調査用紙に「10分以上利用した場合は」との記述がある)視聴した人は63.1%いることになる。

↑ 主要メディアの平均行為者率(平日)(2018年)
↑ 主要メディアの平均行為者率(平日)(2018年)
↑ 主要メディアの平均行為者率(休日)(2018年)
↑ 主要メディアの平均行為者率(休日)(2018年)

平日の動向を見ると、利用者率そのものはインターネットが一番多く、テレビ(生)がそれを追い、新聞が続く形。そしてテレビは生放送では高齢層ほど行為者率が高く、録画はどの年齢階層もほぼ同率(やや高齢者の方が高い程度)。インターネットは20代がピークだが、50代までは8割超を維持する。一方で新聞やラジオの年齢階層間格差は大きい。新聞行為者率は10代で2.5%、20代でも5.3%に留まるが、60代では52.8%と半数を超える。

よく論争の的になるインターネットとテレビだが、10~40代はインターネットの方が利用者率は高く、それ以降はテレビ(生)の方が高い。50代以降は大きな差が出る形でテレビ行為者率が優勢となる。利用した人それぞれがどのぐらいの長さで利用したかはまた別問題だが、少なくとも利用した・しないの区切りでもこれだけはっきりとした、年齢階層別のメディアギャップが見て取れる。

休日も基本的なメディア間・年齢階層別の動向に違いは無い。プライベートな時間を取れる機会が増えることから、それぞれの行為者率が底上げされている感はある。特にテレビ(録画)は大きく増加しており、平日に録画した番組を休日にまとめて観賞するスタイルが透けて見える。他方、新聞やラジオでは平日と大きな差が出ないのは、定期購読をしていない・ラジオそのものを持っていなければ、そもそも聞くことも無いからなのだろう。

平日と休日の差は?

生活リズムや各種メディアの利用状況において、平日と休日では過ごし方、時間の消費方法は随分と異なる。そこで休日値における平日との差異を算出したのが次のグラフ。

↑ 主要メディアの平均行為者率(休日値の平日値との差異、ppt)(2018年)
↑ 主要メディアの平均行為者率(休日値の平日値との差異、ppt)(2018年)

ラジオは休日の方が利用率が低い。これは平日では自宅などで家事などをしながら、あるいは自動車を運転しながら聴いている人が多いが、休日はそれほど「ながら聴取」をする場面は無いことを意味する。またテレビ(録画)が平日と比べて高いが、これは平日録画した番組を、休日の時間がある時にまとめて視聴するライフスタイルをとる人が多いことの表れとなる。

テレビも生放送の利用率は休日の方が高めの値が出ているが、その中でも若年層がやや高め。この年齢階層向けに、日曜限定でリアルタイムで観たい番組があるのだろう(例えばニチアサ)。

メディアとの接触、利用率や利用時間は、個々の世代におけるメディアへのスタンスを推測できる、重要なデータに他ならない。特にメディア関連の技術が著しいスピードで進歩し、普及している昨今では、その変化は他のさまざまな社会事象を検証する上で非常に役立つものとなる。今件調査の継続を願い、その結果発表に期待したいところだ。

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※平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2019年2月23日から3月1日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

なお今調査は例年11~12月にかけて行われるが、直近分は翌年の2~3月となっている。グラフや本文上の表記や考察は、報告書に準ずる形で2018年と表記する。また調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが生じているが、報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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