幼稚園児の推移などをさぐる(2019年公開版)

↑ 幼稚園への通園率はどのような変化を示しているのか。(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

経済だけでなく社会や文化をはじめ各方面に影響を与える社会現象として、昨今において注目されている少子化問題。そして既婚女性の兼業問題とも深い関係のある乳幼児の幼稚園・保育所(園)への通園率・数の変移が大いに気になる。そこで文部科学省が毎年実施している公開全数調査「学校基本調査」の公開結果値を基に、教育施設を利用する幼稚園児などの動向を確認する。

乳幼児の通園場所としては幼稚園以外に保育所(園)、そして最近登場した幼保連携型認定こども園が存在する。違いは裏付けとなる法令、対象年齢、就園時間など多岐にわたる。今件「学校基本調査」では幼稚園や幼保連携型認定こども園の各指標が開示されている一方で、保育園(所)のデータが無いのは、前者が教育施設であるのに対し、後者は児童福祉施設であるからに他ならない。

まずは幼稚園などの児数の推移とその前年比。

↑ 幼稚園などの在学者数(国公私立合計)
↑ 幼稚園などの在学者数(国公私立合計)
↑ 幼稚園などの在学者数(国公私立合計)(2001年度以降)
↑ 幼稚園などの在学者数(国公私立合計)(2001年度以降)
↑ 幼稚園などの在学者数(国公私立合計、前年度比)
↑ 幼稚園などの在学者数(国公私立合計、前年度比)

第二次ベビーブームが影響している1980年度前後が頂点になるが、それ以前は一様に上昇を見せていた。第一次ベビーブームの影響が見えてこないが、これは後ほど述べるように就園率が上昇を続けているため。そして1978年度にピークを迎えたあとは10年ほど急激な減少を見せ、それ以降は漸減状態なのが確認できる。直近では約115万人で、ピーク時と比べると約135万人の減少。

2014年度から2015年度にかけて大きく幼稚園の在学者数が減っているが、これは同じタイミングで制度化された幼保連携型認定こども園へ、人だけでなく施設そのものも多分にシフトしたため。幼保連携型認定こども園の在学者数は直近の2019年度でもさらに前年度から大きく増加しており、それに伴い幼稚園の在学者数は減少を続けている。

それでは第一次ベビーブームの影響をグラフから打ち消すほどの影響を見せた就園率の変移とは、いかほどのものだろうか。こちらは同じく「学校基本調査」の「幼稚園就園率」のデータから確認できる。「幼稚園就園率」は小学校および義務教育学校第1学年児童数に対する幼稚園修了者数の比率を、「幼保連携型認定こども園就園率」は小学校および義務教育学校第1学年児童数に対する幼保連携型認定こども園修了者数の比率を示している。小学校は義務教育で、原則全員就学と見なせるため、例えば幼稚園就園率=幼稚園児の修了時における、その年齢全員の子供に対する比率になる次第である。

↑ 幼稚園などの就園率(国公私立合計)
↑ 幼稚園などの就園率(国公私立合計)
↑ 幼稚園などの就園率(国公私立合計)(2001年度以降)
↑ 幼稚園などの就園率(国公私立合計)(2001年度以降)

幼稚園就園率はデータ計測開始の1948年度以降急上昇を続け(=幼稚園に通う子供の割合が増え)、幼稚園児数のピークとほぼ同じ1979~1981年度にピークの64.4%を迎える。以後は漸減し、直近の2019年度では42.6%。小学一年生を迎える子供の4割強は、幼稚園に通っていたことになる。また、直近年度での幼保連携型認定こども園就園率は14.3%であることから、約7人に1人は幼保連携型認定こども園に通っていた計算となる。

気になるのは1990年度以降、幼稚園就園率がなだらかな減少傾向を見せていること。これは母親の兼業化の増加に加え、就労時間の長期化に伴い、「母親のパート・アルバイトが終わる時間まで預けてくれる保育園、そして最近では幼保連携型認定こども園を選択する世帯が増えている」のが原因である。

ともあれ、幼稚園児数は1978年度前後をピークとして漸減状態にある。そして現在では約145万が通園している(幼保連携型認定こども園を足すと約184万人となる)。今後子供の数の減少に伴い、最大需要数は減少していくものの、保育園や幼保連携型認定こども園の需要は拡大を続けることが予想されるため、今件記事の取り扱い範囲に限れば幼稚園の園児数は減り、幼保連携型認定こども園の園児数は増えていくことだろう。

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