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中国人口はピーク時に14億6400万人…国連予想による中印の人口推移をさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 多大な人口を有する中国とインド。その人口推移はいかに(写真:アフロ)

人口はその国の国力を示す指標の一つで、その現状や今後の推移を見極めるには欠かせない値。そこで今回は国連の公開データから、アジア地域の人口面で注目すべき国として中国とインドにスポットライトを当て、西暦2100年までの人口推定値に関して、日本でよく行われている3世代区分と同様の区分を行い、その値をグラフ化し、状況の精査を行う。

取得するデータは国連による公開値の一つ「World Population Prospects 2019 Revision(世界人口の見通し、2019年改訂版)」(国連事務局経済社会局の人口部局による、人口統計学的な推計によるデータ)。中国とインドに関して、2020年から2100年までの推定人口値を3年齢階層区分(14歳以下、15~64歳、65歳以上)に区分して確認する。

まずは中国。

↑ 中国の年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2019 Revisionより)
↑ 中国の年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2019 Revisionより)
↑ 中国の年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2019より)
↑ 中国の年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2019より)

どこまでも人口が増え続けるイメージがある中国だが、今予想の限りでは2030年で頭打ち。以後は高齢者数を大幅に上乗せ、若年者数を減らしながら、人口全体も減っていく。高齢者数の増加も2060年で止まるが、若年層の減り方は一層大きく、高齢者「比率」ほぼ横ばいとなる。高齢化への歩みは日本より加速度が大きい感はあるものの、最終的に落ち着く高齢者の比率(約32%)そのものは日本(約37%)より下回っている。

続いてインド。

↑ インドの年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2019より)
↑ インドの年齢階層別人口数推定(万人)(World Population Prospects 2019より)
↑ インドの年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2019より)
↑ インドの年齢階層別人口比率推定(World Population Prospects 2019より)

資料発表時点で世界最大人口の国は中国。しかしその中国は上記にある通り2030年で増加は頭打ち。一方、インドは2060年まで増加を継続しており、2030年に逆転する形でインドが人口のトップに立つことになる。インドにおけるピーク時の推定人口は16億5200万人。

インドでは2020年時点で14歳以下が26.2%もいるのが特徴的。高齢化も一様に進んでいくが、スタート地点での余裕が大きく、高齢者人口比率が2割を超えるのは2070年に入ってからとなる。

おおよそ今回紹介した両国も、そしてその他の新興国、さらには先進国も2060年前後が人口動向におけるターニングポイントとなっている(中国はやや早めだが)。

その時点で各国の枠組みに変わりがなければ、との前提だが(かつてのソ連邦のように、国そのものの体制・構成に変化が生じる可能性はゼロとは言えない。冷戦終結前に、東西ドイツの統一や、ソ連邦の解体とロシア連邦などの形成を、誰が予想できただろうか)、各国の国際場面における立ち位置も、随分と変化しているに違いない。

人口数そのものや構成比率は、その国の国力の源となり、それは同時に国際的な発言力の大きな要因になるからである。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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