電話による通話時間の推移をさぐる(2019年公開版)

↑ 話が弾むとついつい長電話をしてしまうものだが。(ペイレスイメージズ/アフロ)

通話による電話利用が今なおコミュニケーションにおいて重要な手段の一つには違いないが、インターネットの普及、特にソーシャルメディアをはじめとした各種コミュニケーションサービスの浸透に伴い、重要性は薄れつつあるのも事実。今回は総務省が2019年3月に発表した調査結果「通信量からみた我が国の音声通信利用状況-平成29年度における利用状況-」(※)から、電話による通話の実態を確認する。

今件調査結果によると音声通話時間を意味する通信時間の日本国内での総計は、直近2017年度では31億4800万時間となり、前年度比で4.1%の減少。種類別では前年度比で固定系、IP電話、携帯電話・PHSすべてにおいて減少している。IP電話は2014年度において、データ取得が可能な2005年度以来はじめて前年度比でマイナスに転じ、それ以降はゼロ前後を行き来する動きとなっている。プラスを示す年度でもわずかなもので、「電話による通話」そのものへの手控え感が進んでいる実情を覆すまでにはいたらない。

↑ 通信時間(通話、国内、種類別、百万時間)
↑ 通信時間(通話、国内、種類別、百万時間)
↑ 通信時間(通話、国内、種類別、対総時間比率)
↑ 通信時間(通話、国内、種類別、対総時間比率)
↑ 通信時間(通話、国内、種類別、前年度比)
↑ 通信時間(通話、国内、種類別、前年度比)

公開資料から取得可能な値で最古となる2000年度では、通話時間の約8割が固定電話、約2割が携帯電話だった。つまり「電話での通話」といえば固定電話によるものが一般的な世の中で、携帯電話の通話は少数派。しかし直近の2017年度では、固定系電話はIP電話を合わせても3割強でしか無く、携帯電話やPHSで7割近く。今や「電話での通話」は主に携帯電話でのやりとりが普通となっている。

種類別では、IP電話は長らく前年度比でプラスを示していたが、これは契約数を大きく伸ばしていたのがプラスの主な要因だった。しかし契約数の増加傾向は続いているものの、それ以上に個々の契約における通話時間の減少率が大きくなり、2014年度以降は前年度比でゼロを挟んでプラスとマイナスを行き来する形となっている。

↑ 固定電話の加入契約者数(万契約)(総務省・情報通信白書から作成)
↑ 固定電話の加入契約者数(万契約)(総務省・情報通信白書から作成)

携帯電話・PHSでは、PHSこそ契約数は減少中だが、携帯電話では契約数は増加している。しかし通話回数は減少している。電話によるコミュニケーション手段が、音声からデジタル(電子メールやチャット、ソーシャルメディアなど)にシフトしつつあるからだ。

↑ 通信回数(通話、国内、種類別、億回)
↑ 通信回数(通話、国内、種類別、億回)

そして総通信時間は今回年度も前回年度に続き、前年度比で減少している。固定系と総通信時間は記録のある2001年度以降、前年度比で増加したことが無い。

知人との間、そして親子でも手持ちのモバイル端末で、音声による通話では無くデジタル(電子メール、チャットなど)での意志疎通へとシフトが進んでいる。LINEのように音声通話もできるチャットアプリが普及するにつれ、そしてそれを実装できるスマートフォンの普及とともに、電話における通話は時間も回数もますます減少していく。この傾向は今後も続くに違いない。

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※通信量からみた我が国の音声通信利用状況-平成29年度における利用状況-

日本国内の電気通信事業者からの報告を取りまとめたもので、対象事業者は兼業している事業者も含め発信側で区分すると、固定系関係9社、ISDN系8社、公衆電話系4社、IP電話系20社、携帯電話系11社、PHS系7社、国際電話関係7社。過去の調査結果も同様の様式で取りまとめられている。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。