パート・アルバイトは増加継続…非正規社員の現状をさぐる(2019年公開版)

↑ コンビニのパートも非正規社員としてのもの。その実情は。(写真:アフロ)

労働市場に関する状況の変化において、注目を集めている事象の一つが非正規社員(職員・従業員)問題。先日総務省統計局から発表された労働力調査の2018年分の結果を基に、現状を確認していく。

最初に取り上げるのは、雇用形態別で区分した、非正規社員に関する直近と近年の人数推移。直近分となる2018年においては、景況感を受けて企業側による労働リソースの需要が拡大する一方で、コスト増への懸念や必要な労働力の柔軟化、閑散期と繁盛期の差が大きい第三次産業比率の拡大の動きが見受けられる。また主婦をはじめとした就業時間の柔軟性の高い点を評価した上での需要拡大と、正規雇用が困難な事例が多々見受けられる昨今の労働市場の状況は継続。

結果としてパート・アルバイト、派遣社員、契約社員・嘱託ともに前年比で増加することとなった。

↑ 非正規職員・従業員数(雇用形態別、万人)
↑ 非正規職員・従業員数(雇用形態別、万人)
↑ 雇用形態別、非正規社員数の推移(万人)
↑ 雇用形態別、非正規社員数の推移(万人)
↑ 職員・従業員数(前年比、雇用形態別、万人)
↑ 職員・従業員数(前年比、雇用形態別、万人)

特にパート・アルバイトは前年比でプラス76万人と大幅な増加を示している。この大幅な増加の原因は、詳しくは後述するが、高齢者における早期雇用退職制度適用者による非正規社員としての再雇用の機会を受けたものと、在学中の学生層における就業によるものである。

派遣社員の減少は「派遣叩き」の影響が出始め大きく値を減らした2009年、そして2010年と続き、ようやく2011年にはプラスマイナスゼロの領域まで回復した。この期間には同時にパート・アルバイトや契約社員・嘱託が増えているところから、単に労働力が過剰で非正規社員が減らされたのでは無く、「派遣社員がバッシングで雇用し難くなったのなら、同じような作業はアルバイトや契約社員に任せよう」との意図を企業が実践していたことが分かる。

2013年では労働力そのものの不足に加え、景況感の回復に伴い労働市場の活性化が生じ、さらに団塊世代の定年退職を受けて高齢層の非正規雇用希望者としての供給が大幅増加。その上、それら高齢層の離職の穴を埋めるための非正規雇用としての求人も増え、いずれの様態でも非正規社員は大きく増加した。ただし雇用者全体数は微増しているが、正規社員は減少し、その分非正規社員は増加していることから、労働の様式そのものの変化(非正規化へのシフト化)が進んでいる現状が改めて見て取れる(正規社員の高齢者が定年退職して非正規として再就職するのだから当然の話なのだが)。

2015年以降は正規社員でも前年比で増加の動きを示しており、同時に非正規社員も増加を継続している。労働市場の回復ぶりや内部構造の変化に加え、企業側の求人内容の変化が生じている実態がつかみ取れる。派遣社員が増えているのは、正規社員・従業員の求人をしても人手を集められない企業が、派遣社員で代用するという需要があるのも一因ではある(景気ウォッチャーのコメントでこの方式を用いている企業の弁が少なからず見受けられる)。

2018年時点では職員・従業員全体の62.1%が正規社員、残りがパートや派遣、契約などから成る非正規社員との計算になる。もっとも上記グラフにある通り、非正規社員は兼業主婦によるパート・アルバイトが多分に含まれていることに注意しなければならない。各算出値はあくまでも老若男女すべてを合わせた結果である。

↑ 職員・従業員全体に占める割合(雇用形態別)
↑ 職員・従業員全体に占める割合(雇用形態別)

このグラフを見ると、単純に非正規社員の割合が増加の一途をたどっているように見える。しかし、先の実数のグラフと照らし合わせると、景気後退の影響が出る2008年までは「正規社員数は横ばいか微減」「非正規社員は増大」との構図、言い換えれば企業は「景気拡大期は非正規社員の増加で、業務拡大に対応していった」のが大きな流れであることが分かる。ちなみに「世間が派遣社員制度を叩き正規雇用を求める動き」と、「不景気で雇用調整が行われ、正規社員が減る時期」「不景気に加えて派遣叩きの世論で派遣市場が縮小する時期」、さらに「パートやアルバイトの増加時期」はほぼ一致する。

現在は景気後退・低迷期を抜け出て景況感の回復のターンのさ中にあるともいえるが、労働市場の内部構造の変化は続いており(上記に挙げた第三次産業比率の増加もその一要素)、効率的な企業経営の中で正規社員が必要とされるポジションが増えることはさほど無く、柔軟性に富んだ非正規社員の需要が増加している。ただし非正規社員枠ではまかないきれない職務領域の拡大や、非正規による求人では人的リソースを埋めきれない状況が増え、それとともに正規社員の求人も増加し、就業できるケースが増えている(労働市場の回復過程は概して「非正規の雇用増加」「正規の雇用増加」の順となる)。

また、定年退職者の再雇用や早期退職制度の適用、リストラによる中途退職者の増加も、昨今の労働市場においては重要な要素の一つ。繰り返しになるが、非正規社員の増加数では若年層よりはるかに多い中年層以降の増加が確認されている。とりわけ高齢者と中年層女性の増加が著しく、小売業などでの女性のパート・アルバイトの需要、定年退職者の再雇用が大幅に増加したものと見れば道理は通る(2018年は15~24歳の若年層でも大幅に増加しているが)。

↑ 非正規職員・従業員数(前年比、男女別・年齢階層別、万人)(2018年)
↑ 非正規職員・従業員数(前年比、男女別・年齢階層別、万人)(2018年)

2018年においては男女を問わず15~24歳の若年層におけるパート・アルバイトも大幅に増加している。詳細データを確認すると(グラフ化は略)、15~24歳のうち大学・大学院の在学中の状態の非正規社員は男女合わせて2017年で102万人だったのに対し、2018年では128万人と26万人も増加している。時給などの就業環境がよくなり、アルバイトにいそしむ大学生が急増したということだろう。学問に勤しむべき立場の者の非正規社員数の大幅増加が好ましいかどうかについては、考える余地のある問題ではあるのだが。

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