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弁当やおにぎり、調理パン…中食系主食の購入性向をさぐる(2019年時点最新版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ コンビニ弁当は食生活に欠かせない存在の人もいるのでは。(写真:アフロ)

さまざまな環境変化で食生活の上で中食への注力が目立つようになった。お弁当やおにぎり、調理パンなどのような「中食に該当する主食系の食事」の購入性向はどのような実情なのだろうか。総務省統計局による家計調査の結果(年次分は2018年分が最新)から確認する。

今回スポットライトを当てる対象項目は「主食的調理食品」のうち「弁当」「すし(弁当)」「おにぎり・その他」「調理パン」「他の主食的調理食品(冷凍食品も含む、他の選択肢に該当しない主食的な調理食品。中華まん、お好み焼、たこ焼、各種グラタン、レトルト食品など)」とする。なお、お菓子の類(「菓子類」の分類。ようかんやまんじゅう、カステラ、ケーキなど)も購入実情を考えれば中食に相当するが、主食では無いので今回は考察からは除外する。

まずは月あたりの世帯購入頻度(※)。二人以上世帯の場合は夫か妻の片方どちらか、さらには子供が購入しても(子供の小遣いでの調達までは「家計」にはカウントされないため、あくまでも「世帯全体のお財布から買った」もののみ)購入世帯として該当することになる。

↑ 月あたり世帯購入頻度(主食的調理食品、世帯種類別)(2018年)
↑ 月あたり世帯購入頻度(主食的調理食品、世帯種類別)(2018年)

月あたり単身世帯は平均2.7回近く、二人以上世帯は1.8回近くは弁当を購入している。イメージ通り単身世帯の方が購入性向は高い。一人暮らしをしている人は自分の経験と比べて「この値、少なめでは無いか?」との感想を抱く人もいるかもしれない。しかし今件は都心部に限らないこと、高齢者まで含まれていることを思い返せば、納得はできるはず。

そして弁当だけで無く、おにぎり、あるいはそれに類するものも単身世帯の方が購入性向は高い。単身世帯における、中食を多用した食事事情がすけて見えてくる。

一方で同じお弁当でもすし(弁当)や、他の主食的調理食品は二人以上世帯の方が多い。例えば一人暮らしの人がピザのオーダーをしても、一度に食べ切るのは難しいことを考えれば、二人以上世帯の利用する傾向が強いのも納得がいく。

これを金額ベースで見たのが次のグラフ。二人以上世帯では一人あたりの額も試算して、グラフを併記しておく。もっとも子供と大人では消費の傾向が異なるため、それを平均化しても大きな意味は無い。あくまでも参考値程度。

↑ 月あたり支出金額(主食的調理食品、世帯種類別、円)(2018年)
↑ 月あたり支出金額(主食的調理食品、世帯種類別、円)(2018年)
↑ 月あたり支出金額(主食的調理食品、一人あたり、世帯種類別、円)(2018年)
↑ 月あたり支出金額(主食的調理食品、一人あたり、世帯種類別、円)(2018年)

購入性向と同じように、弁当、おにぎり・その他、は単身世帯の方が、すし(弁当)、調理パン、他の主食的調理食品は二人以上世帯の方が金額的に大きなものとなる(世帯単位で見た場合)。金額面でも単身世帯は二人以上世帯よりも弁当やおにぎり・その他に、一人あたりで考えればそれら以外も含めた中食全体に支えられていることが分かる。

単身世帯の数そのものが増加傾向にあることはすでに複数の調査結果で明らかにされている。例えば厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、2017年時点の単身世帯数は1361万3000世帯に達している。

↑ 世帯種類別世帯数(積み上げグラフ、万世帯)(2001年~)(国民生活基礎調査の結果から筆者作成)
↑ 世帯種類別世帯数(積み上げグラフ、万世帯)(2001年~)(国民生活基礎調査の結果から筆者作成)

スーパーや小売店、各種食品販売企業で、お弁当やおにぎりをはじめとした、小口の商品、一人用の食材、使い切りを考慮したパッケージによる商品が増えてくるのも、理解できる。

さらに今後は高齢層人口の増加や晩婚化=需要増加に伴い、少量パッケージの需要はますます増加する。単身世帯向けの中食用商品のうち、特に需要が大きい弁当、他の主食的調理食品部門で、従来品よりも量が少なめの商品展開が一層活発化することだろう。

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※世帯購入頻度

世帯単位での該当期間の購入頻度。例えば特定の世帯において該当期間に誰かが2回雑誌を購入すれば、その世帯の世帯購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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