全世帯の1/4強は新聞を購入していない…週刊誌や雑誌、書籍の支出金額をさぐる(2019年時点最新版)
インターネットという新しいメディアの登場で、紙媒体のビジネスは一様に厳しいとの話を聞く。紙媒体はどれほど買われているのか、世帯単位の実情を総務省統計局による家計調査の最新結果(年次分は2018年分が最新)から確認する。
次に示すのは総世帯(すべての世帯。単身世帯+二人以上世帯)の家計調査における書籍・他の印刷物(紙媒体全般)の詳細項目の動向。なお一人あたりの支出金額に関して、新聞は世帯単位での購入が常であることから省略している。
新聞、雑誌・週刊誌、書籍、その他印刷物いずれも世帯購入頻度(※)は100%を割り込み、一か月の間に一冊・一部も購入していない世帯が相当数存在することが分かる。「2世帯に1世帯」の目安は50%だが(仮に購入世帯が1か月あたり1回のみ購入したと仮定した上での話)、新聞以外はすべてその目安すら割り込んでいる。
新聞は月あたりの購入動向だが、それでも7割強に留まっている。全世帯の1/4強は新聞を一切購入していない。なおデジタル系新聞は「電子新聞」に該当し、別項目「他の教養娯楽サービスのその他」に計上されるため、今件では含まれていない(この項目には音楽や映画、動画のダウンロード代やコンテンツ月額使用料、電子書籍代金など多様な支出金額が該当するため、電子新聞のみの動向を推し量ることは不可能)。電子化シフトも一部は新聞購入離れに影響しているものと考えられる。
前回年分となる2017年次の数字と比べると(グラフ提示は略)、おおよその項目で下落が確認できる。例えば新聞は世帯購入頻度で0.4%ポイント減、金額で101.1円減。雑誌・週刊誌は2.8%ポイント減・17.6円減、書籍は2.5%ポイント増・66.4円減。いずれも厳しい値に違いない。
「すべての世帯を合わせると新聞の購読世帯は7割強」「雑誌・週刊誌を月に1冊も買っていない世帯が7割近くいる」などの値は、紙媒体のビジネスの厳しさを実感させるのには十分すぎる結果に違いない。
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※世帯購入頻度
世帯購入頻度とは世帯単位での月あたりの購入頻度。例えば特定の世帯において該当期間中に誰かが2回雑誌を購入すれば、その世帯の期間中の世帯購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。
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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。