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アメリカ合衆国の民主党支持者のうちリベラルな人は政治的な対立相手との話で6割強がストレスを感じている

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 政治的な話は対立を生み出しストレスを感じさせてしまうことも多い。(写真:アフロ)

主張が異なる相手との会話は有意義な見識を得たり新しい発見を覚える機会となることもあれば、別次元の世界の人との会話のようにストレスを感じてしまうこともある。対立が生じることが多い政治面での会話は、特に反発的な感情が生じやすい。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年11月に発表した調査報告書「More Now Say It’s ‘Stressful’ to Discuss Politics With People They Disagree With」(※)を基に、同国の実情を支持政党別に確認する。

アメリカ合衆国内では現状において民主党(オバマ前大統領所属)支持者の方が共和党(トランプ現大統領所属)支持者よりも、政治面で同意できない意見を持つ人との間における政治的な会話において、ストレスを感じる人が多い。

↑ 政治面で同意できない意見を持つ人との間で政治的な会話をした時に通常抱く感情(アメリカ合衆国、支持政党別)
↑ 政治面で同意できない意見を持つ人との間で政治的な会話をした時に通常抱く感情(アメリカ合衆国、支持政党別)

この状況について、それぞれの政党支持者における、イデオロギー別に詳細を確認したのが次のグラフ。元々共和党支持者は保守的方向性が強いため「保守」「中道・リベラル」で、民主党支持者はリベラル的方向性の強さから「保守・中道」「リベラル」で区分している。それぞれの政党支持者にとって、どちらかといえば中道が含まれている方が傍流派と見ればよいだろう。

↑ 政治面で同意できない意見を持つ人との間で政治的な会話をした時に通常抱く感情(アメリカ合衆国、支持政党別・イデオロギー別)(2018年10月)
↑ 政治面で同意できない意見を持つ人との間で政治的な会話をした時に通常抱く感情(アメリカ合衆国、支持政党別・イデオロギー別)(2018年10月)

共和党支持者内では主流の保守的イデオロギーを持つ人は53%がストレスを感じているが、中道・リベラルな人は44%に留まっている。「政治面で同意できない意見」の相手は多分に民主党支持者が該当するが、その人達の主流はリベラル的イデオロギーであることが多いため、ストレスを感じる機会がやや減るのだろう。真っ向からの対立となる保守的な人では、ストレスを感じる人は53%。

一方で民主党支持者では傍流派となる保守・中道ですらストレスを感じる人は51%と半数を超える。そして主流のリベラル的イデオロギーを持つ人においては、実に63%の人がストレスを感じるとしている。

同じ支持政党の間でも、イデオロギーの違いによって政治面で同意できない意見を持つ人との間における反応には差が生じるものの、民主党支持者ではイデオロギーで近い対象となりうる相手との間でも反発は強く、ましてやイデオロギーに違いがあれば非常に強いストレスを感じるようではある。

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※More Now Say It's ‘Stressful’ to Discuss Politics With People They Disagree With

直近分は2018年9月24日から10月7日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の人に対してインターネット経由で実施されたもので、有効回答数は10683件。回答者は居住地に基づいたランダムな選別が行われ、該当者には手紙で確認を取り、インターネット環境が無い人には電話で確認を取り了承があった場合はインターネットへのアクセスができるよう、タブレット型端末が送付されている。以前の調査も同様の方法が用いられている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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