戦後の交通事故・負傷者・死者数をさぐる(2019年発表版)

↑ 戦後の交通事故の実情を統計値から確認。(写真:アフロ)

・「第一次交通戦争」まで交通事故の発生件数・負傷者数・死者数はほぼ比例する形で増加。

・石油危機で一時的に交通事故やそれによる死者などは減ったが「第二次交通戦争」で再び増加。

・「第二次交通戦争」以降は「発生件数・負傷者数・死者数間の正比例」の関係が崩れる。2004年以降は事故発生件数、負傷者数そのものも減少。

警察庁は2019年1月4日付で、2018年における全国の交通事故死者(事故発生から24時間以内に死亡)の数が3532人に達したこと、前年2017年の3694人と比較すると4.4%減少したことを発表した。交通事故死者数は過去最悪だった「第一次交通戦争」と呼ばれている1970年の値、1万6765人の1/4足らずにまで減少している。今回はこの発表資料などを基に、戦後の交通事故による死者や負傷者の動向を確認する。

次に示すのは交通事故の発生件数、それによる負傷者数、さらには死者数を一枚にまとめたグラフ。死者数は桁が少ないため、右軸でカウントしている。

↑ 交通事故発生件数・負傷者数・死者数(人)(1946~2018年)
↑ 交通事故発生件数・負傷者数・死者数(人)(1946~2018年)

このグラフは絶対値によるもの。ある程度状況の把握は可能だが、このグラフだけでは精査が難しい点もある。そこで数字的なピークとなった「第一次交通戦争」とも呼ばれる時期の1970年の値をそれぞれ基準値の100として基準を設定。その上で、交通事故発生件数・負傷者数・死者数の推移(指標推移)をグラフ化したのが次の図。最大値を示した時からどれだけ増加・減少しているかなどの状況把握は、この方がしやすい。

↑ 交通事故発生件数・負傷者数・死者数(死者数ピーク時の1970年の値を100.0とした場合、指数)(1946~2018年)
↑ 交通事故発生件数・負傷者数・死者数(死者数ピーク時の1970年の値を100.0とした場合、指数)(1946~2018年)
↑ 交通事故発生件数・負傷者数・死者数(死者数ピーク時の1970年の値を100.0とした場合、指数)(2018年)
↑ 交通事故発生件数・負傷者数・死者数(死者数ピーク時の1970年の値を100.0とした場合、指数)(2018年)

これらのグラフを見ると、いくつかの特徴が確認できる。

・「第一次交通戦争」まで交通事故の発生件数・負傷者数・死者数はほぼ比例する形で上昇している。

・1970年代に起きた「石油危機」(オイルショック)で自動車の運行頻度・台数は大幅に減少し(&省エネ化の促進)、それに伴い事故発生件数・負傷者数・死者数も減少している。

(注:車両台数は減少・横ばいの傾向には無い)

・その後再び各値は上昇。いわゆる「第二次交通戦争」と呼ばれる1988年には、再度事故死者数が1万人を突破する。

・その後、これまでの「発生件数・負傷者数・死者数間の正比例」の関係が崩れる(指数グラフ、緑の矢印で示した部分)。

・2004年以降は事故発生件数、負傷者数そのものも減少傾向を見せている(車両台数も漸増からやや横ばいに落ち着いている)。

・この数年は死者数はゆるやかな減少、発生件数と負傷者数は急降下で減少中

特に注目すべきなのは、1990年後半以降、「第二次交通戦争」以降に起きた、「事故発生件数・負傷者数」と「死者数」のかい離(かけ離れること)。これまで3項目の動きがほぼ正比例の関係にあったのに対し、1990年後半を境に「事故発生件数や負傷者数が増えても、死者数は減少する」傾向を見せたこと。もちろん死者数のカウント方法を変更したり小細工をした(事故発生から24時間で統計上の事故死からは外れる)わけでは無い。警察庁発表の「交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締まり状況について」などで確認しても、30日以内、1年以内の死者数も同様に減少している。「交通事故における死者数そのものが減っている」ことに間違いは無い。

↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数(「交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締まり状況について」や人口動態統計(厚生労働省)などから筆者作成)
↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数(「交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締まり状況について」や人口動態統計(厚生労働省)などから筆者作成)

交通事故による死者数が有意な形で減っているのは、「医学の進歩」「自動車車両の(安全性向上面における)技術進歩」「交通ルールの規制強化」によるところが大きい。例えばシートベルトなら「1993年以降シートベルト着用者率は年々向上している」「シートベルト非着用時の致死率(死傷者数に占める死者数の割合)は、着用時の場合の約15.3倍」などが裏づけとなる。

統計データを見る限り、自動車事故に対して行政・自動車メーカーが行っている努力は実を結びつつある。最終的には「年間交通事故死者数ゼロ」が目標だが、これは果たせぬ・永遠の夢。それでも関係者たちはその値を目指し、ダメージの軽減や交通ルール遵守対策、さらには事故そのものを回避するような仕組みを追い求めて続けて行く。一層の成果の発揮と事故関連の数字の減少に期待したいところだ。

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