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経済の現状と満足感、そして子供が成長する頃の経済状態。3つの視点から日本の実情認識をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本はどうだろう。日本人自身の認識を確認。(ペイレスイメージズ/アフロ)

日本の人達は日々の生活をどのように認識しているのか。アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerの調査「Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future」(※)の結果報告書を基に、3つの視点「経済の現状」「満足感」「子供が成長する頃の経済状態」から実情を確認する。

次に示すのは各調査年において「自国の経済状態は良好か否か」「総合的に自国の現状に満足しているか否か」「子供が成長する頃は今の親より経済状態はよくなっているか否か」の問いを行い、肯定的な意見を返した人の割合。年によっては調査自体が行われていない、特定の問いのみ問合せをした年があることに注意。

↑ 同意できる人の割合
↑ 同意できる人の割合

「自国の経済状態は良好」の回答率はITバブル崩壊による影響を受けた2002年の値がもっとも低く、その後景況感の回復で2007年は大きく復活、それ以降は金融不況、リーマンショックと円高不況、さらには東日本大震災の影響などで底冷えし、2013年以降は政変の結果を受けて大きく回復していく状況がよく分かる動きとなっている。

他方、「自国の現状に満足している」との同意回答率は意外にも金融不況の間もあまり変化がない。そして2012年の政変以降は「自国の経済状態は良好」同様に大きく値は跳ねる形となっている。

しかしながら一方で、回答時の子供が大人になる時には、その親よりも経済状態はよくなっていると思う人は少数派でしかない(国全体では無く、子供個人のお財布事情を示していることに注意)。この動向について報告書では「昔も今も日本は悲観主義である」と説明している。

属性別動向について報告書では、いくつかの事例のみが説明されている。それによると直近年分では「現状に満足しているのは男性で49%だが女性は40%」「経済状態が良好と考えているのは男性で52%だが女性は35%」「経済状態が良好と考えているのは与党支持者は62%だが野党支持者では34%」とのことである。

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直近年分の調査は2018年5月24日から6月19日にかけて、RDD(固定電話40%、携帯電話60%)で選択された18歳以上の日本在住の人に対し、通話によるインタビュー形式で行われたもので、有効回答数は1016人。国勢調査の結果を基にウェイトバックがかけられている。なお過去の調査も同様の条件で実施されている。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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