進む若者のたばこ離れ…アメリカ合衆国の喫煙率推移をさぐる
先進諸国では健康リスクを受けて喫煙率は漸減状態にある。アメリカ合衆国の喫煙率の推移を、同国の医療保険関連の公的機関CDC(Centers for Disease Control and Prevention:疾病予防管理センター)の部局BRFSS(Behavioral Risk Factor Surveillance System)の公開値(※)から確認する。
その公開値によればアメリカ合衆国において最新の調査時点(2017年)でたばこを吸っている、つまり純粋な「現在喫煙率」は17.1%。
その喫煙率の過去からの動向は次の通り。まずは全体および男女別の動き。
男性は女性よりも喫煙率は高く、その差はほぼ一定。時代が移り変わっても、男女差にあまり変化は見られない。そして今世紀初頭でやや上昇ぶりを見せるが、概して喫煙率は減る傾向にある。2011年にイレギュラーな上昇の動きをしているが、これはグラフ内注釈にもある通り、計測様式の変更によるもの。2012年以降は再度減少傾向を示していることから、喫煙率は実質的に2005年以降確実に減少の動きを示していると見てよい。もっともここ1、2年は横ばいの動きを示しており、底打ちのようにも見える。
一方年齢階層別に見ると、最若年層の喫煙率減少度が大きいことが確認できる。
前世紀末期から年齢階層別の喫煙率では最上位を見せるようになった18~24歳層だが、2003年から2004年以降は急激に値を落としている。一方で25~34歳層をはじめ他の階層の減少率は緩やかで、2007年には両者の喫煙率はほぼ同じ値となる。「若年層のたばこ離れ」との言い回しはいかにも陳腐だが、あながち間違ってもいない表現であることが(少なくともアメリカ合衆国では)分かる。2011年の計測様式の変更後も、18~24歳層の喫煙率は落ち込み続け、25~34歳層が最上位を維持しており、この状況はしばらく続くものと思われる。
ところが高齢層、具体的には55歳以上は喫煙率の減少ぶりは穏やかなまま。むしろ直近数年では横ばいの動きすら見える。また、35~44歳層と55~64歳層が増加の動きに転じているのも気になるところではある。
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※公開値
CDCにおける健康関連調査やその結果の公開は2011年分以降において、CDC自身からその部局のBehavioral Risk Factor Surveillance System(BRFSS)に移行し、それに伴い調査方法にも多少の変化が生じている。注意書きでも「厳密な連続性は無いので、比較の際には注意を要する」と説明書きがある。
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