Yahoo!ニュース

高校2年生は平均2時間21分…子供達の携帯電話の利用時間の実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 暇さえあれば携帯電話。利用時間の実情は。(ペイレスイメージズ/アフロ)

携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)の普及は大人だけでなく子供達の間にも、多様な面で大きな変化をもたらしている。子供達は日にどれほどまでの時間を携帯電話に費やしているのだろうか。国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)の報告書の内容から確認する。

次に示すのは、携帯電話の利用時間を尋ねたもの。平日・土日の区切りは無く、回答者が日々の生活の中で認識している平均利用時間を答えてもらったものとなる。また利用内容は問われておらず、ゲーム、ソーシャルメディアの利用、メールでのやり取りなどすべてを含む。さらにインターネットへの接続の有無も関係無し。「ながら利用」に関する説明も無いので、テレビを見ながらスマートフォンを操作しているような状況でも、「利用している」時間に該当する。

なお回答時には該当機種の所有の有無は問題とされていない。携帯電話を持たず保護者からも借りていない人は当然「まったく無い」の回答を選択する。それぞれの学年における携帯電話の普及率が、各値にも影響を与えることになる。

↑ 従来型携帯電話やスマートフォンを1日何時間ぐらい利用しているか(2016年度)
↑ 従来型携帯電話やスマートフォンを1日何時間ぐらい利用しているか(2016年度)
↑ 従来型携帯電話やスマートフォンを1日何時間ぐらい利用しているか(概算平均時間、時間)(2016年度)
↑ 従来型携帯電話やスマートフォンを1日何時間ぐらい利用しているか(概算平均時間、時間)(2016年度)

小学生は携帯電話を持たないケースが多いことから、「まったく無い」との回答が3割台から5割台を占める。しかしながら学年が上がるに連れて確実に利用する機会を得る人が増え、長時間利用する人も増えていく。興味深いのは「1時間未満」、つまり利用する機会はあるがあまり利用しない人の割合はさほど変化せず、長時間利用する人が増える構図となっている点。

中学2年生になると実質的な非保有率は3割足らずにまで落ち込み、短時間利用者も2割足らずに減る。平均利用時間も1時間を超え、3時間以上の利用者も2割を超える。

高校2年生は非保有者がほとんどおらず、短時間利用者も1割強。8割台が毎日1時間以上利用し、2時間以上でも6割台、3時間以上でも4割近く。ながら利用が多分にあるとはいえ、休日だけでなく平日も合わせた平均利用時間が3時間超との人が4割近くもいるとの実情には、驚きを覚える人もいるかもしれない。

概算平均利用時間を男女別に試算すると次の通りとなる。

↑ 従来型携帯電話やスマートフォンを1日何時間ぐらい利用しているか(概算平均時間、時間、男女別)(2016年度)
↑ 従来型携帯電話やスマートフォンを1日何時間ぐらい利用しているか(概算平均時間、時間、男女別)(2016年度)

小学4年生では男子の方が長いが、小学5年生で男女同じとなり、小学6年生になると女子の方が長くなる。そして中学2年生、さらには高校2年生でもその状態が続く。今件は単に「利用している」であり、具体的に何を使っているかまでは問われていない。今調査別設問によれば携帯電話に限らないが、デジタル系ゲームのプレイ時間は男子の方が長くなる傾向がある。

↑ テレビゲームやコンピューターゲームなどを1日に平均何時間ぐらいしているか(概算平均時間、男女別、時間)(2016年度)
↑ テレビゲームやコンピューターゲームなどを1日に平均何時間ぐらいしているか(概算平均時間、男女別、時間)(2016年度)

同じデジタル系の機器を用いた時間の消費について、男子はパソコンやゲーム機でゲーム、女子は携帯電話を用いたあれこれ(ゲームよりはソーシャルメディアなどの利用が多いのだろう)に傾注する傾向があるということなのだろう。

■関連記事:

利用端末別にソーシャルメディアの利用率をさぐる

ソーシャルメディアは女性上位

※青少年の体験活動等に関する実態調査

直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事