28.5%は経験あり…高校2年生のアルバイトの実情をさぐる
高校生のアルバイトは一定のルールを設けた上で、学校側から許可される事例が増えてくる。多面的な観点で人生の糧となるアルバイトの実情について、国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)の報告書の内容から確認する。
多様で貴重な経験となるであろうアルバイトについて、今までにしたことがあるか否かを尋ねた結果が次のグラフ。なお今調査の調査対象母集団は小中高校生だが、アルバイトの許可が下りるのは大抵の場合は高校生以上であることから、回答対象も高校生に限定されている。
直近の2016年度では28.5%がアルバイト経験あり、7割強が無しと回答している。具体的なアルバイトの内容は今調査では尋ねていないが、ファストフードやコンビニの店員、荷物運び、新聞配達など多様な職種が容易に想像できる。年始における郵便局の配送業務を経験した人もいるだろう。夏休みや冬休みのような長期休業時期に、学生らしさを見せる店員が働いている姿を見た人も多いはず。
経年変化を見ると、おおよそアルバイトの経験者は減る傾向にあることが分かる。2006年度時点では42.7%もいたが、2016年度では28.5%と1割以上も減少。ここ数年では減少の動きが底を打ったようにも見えるが、下げるタイミングがほぼ金融危機に始まる不況動向と一致するため、単に求人不足のためにアルバイト経験者が減っている可能性もある。
しかし2014年度(2015年2月から3月実施)ではすでに景況感は回復し、何よりアルバイトも合わせた求人枠の大幅増加に伴う労働市場における人手不足が生じている。そしてその状況は2016年度でも変わらない。単なる求人不足が最近のアルバイト率減少の原因ならば、2014年度は増加に転じていなければならないはずだが、その予想に反して減少の結果が出ている。単なる統計上のぶれか、あるいは高校生において学業により専念するため、アルバイトを避ける傾向が生じているのかもしれない。
これを男女別に見ると、意外な結果が出ているのが分かる。
全般的に男子よりも女子の方がアルバイト経験率は高い。女子の方が接客系のアルバイトの求人が多いからか、それとも女子は男子よりも肉体・精神の成長が早く、アルバイト経験を求める意欲も高まるからだろうか。
直近となる2016年度では男子は1/4ほど、女子は3割強が、高校2年生時点でアルバイト経験を持っていることになる。アルバイト経験率の動向として、女子は漸減のように見えるが、男子は2010年度に底を打ったようではある。
■関連記事:
パートやアルバイトの時給動向をさぐる(2018年9月分まで)
※青少年の体験活動等に関する実態調査
直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。
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