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高校2年生は運動部に約5割、文化部は1/4ほど…中高生の部活動実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 賛否両論が交わされている中高生の部活動だが。(ペイレスイメージズ/アフロ)

高校2年生は約5割が運動部所属

中高生はほとんどの学校で部活動が行われる。一方で昨今では生徒・教師それぞれの部活動に対する負担に関して、問題提起が行われている。中高生は現状でどれほど部活動に参加しているのか、その実情を国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)の報告書の内容から確認する。

次に示すのは直近2016年度における、中高生の所属部活動の状況。

↑ 現在所属の部活動(複数回答)(2016年度)
↑ 現在所属の部活動(複数回答)(2016年度)

中学2年生は67.9%が運動部、19.1%が文化部に所属している。そして未所属、いわゆる帰宅部は10.6%でしかない。「その他」が気になるが、運動・文化の双方の区分がしにくいものに加え、部活動への参加が義務付けられているものの、生徒会活動など部活動に類するものに参加していれば免除される事例が該当するのだろう。

高校2年生になると運動部の所属比率は大きく減り、その分文化部が増える。他方、未所属者も増える。勉学に励むため、あるいはアルバイトに時間を充てるため、部活動に参加しない選択をする人も増えるものと考えられる。

これを男女別に区分したのが次のグラフ。

↑ 現在所属の部活動(複数回答、中学2年生、男女別)(2016年度)
↑ 現在所属の部活動(複数回答、中学2年生、男女別)(2016年度)
↑ 現在所属の部活動(複数回答、高校2年生、男女別)(2016年度)
↑ 現在所属の部活動(複数回答、高校2年生、男女別)(2016年度)

中学生・高校生ともに男子は女子と比べて運動部の所属割合が高く、女子は男子と比べて文化部の所属割合が高い。具体的な部活名までは調査の対象となっていないが、実情は容易に理解できる。また未所属やその他項目は男女ともさほど変わりがない。

中学生では男子の8割近く、女子でも6割近くが運動部に入っている。高校になると男子の運動部所属は6割強、女子の文化部所属は4割足らずに減る。他方、文化部は男女とも中学生より高校生の方が所属割合が高くなるのは興味深い動き。高校に入ってからの方が、趣向の領域が広がり、また文化部の種類そのものも増えるからだろう。

なおグラフ化は略するが、男女別に区切っても、各項目をすべて足した合計値は100%をわずかに超え、最大で2%近い超過分が確認できる。統計上の誤差を超えており、1%内外で兼部をしている人がいるものと考えられる。

部活の加入に変化は生じているのか

運動部と文化部の入部動向において、時代の流れによる変化は生じているのだろうか。2007年度以降の動きを示したのが、次以降のグラフ。まず中学2年生について。

↑ 現在所属の部活動(複数回答、中学2年生)
↑ 現在所属の部活動(複数回答、中学2年生)

大きな変化は無いが、ほんの少しずつ運動部が減り、文化部が増えているように見える。直近の2016年度分は運動部も文化部も減り、未所属が大きく増えるという、興味深い動きを示している。これがイレギュラーなものなのか、中学生の部活離れ的な動きなのか、もう数回分の調査結果を見定めたい。

変化の観点では高校生の方がよりはっきりとした動きを示している。

↑ 現在所属の部活動(複数回答、高校2年生)
↑ 現在所属の部活動(複数回答、高校2年生)

運動部、文化部ともに回答率はじわりと上昇中。特に文化部ははっきりと増加傾向が表れている(直近2016年度ではやや減っているが)。運動部・文化部双方とも増えているのなら、差し引きでどこかが減らねばならないわけだが(掛け持ちの可能性もゼロでは無いものの、統計値上には上記の通り1%程度しかほとんど表れていない)、未所属が減っているのが確認できる。つまり帰宅部が減り、運動部や文化部に流れている次第である(ただし直近2016年度では増えている)。

単純に部活動への関心が高まりつつあるのか、それとも部活動への参加を義務付ける学校が増えたのかまでは分からないが、留意を払う必要がある動向には違いない。

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※青少年の体験活動等に関する実態調査

直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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