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包丁で料理、ぞうきん絞り…子供達の家事経験の実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 子供の包丁利用は危ないとの意見もあるが、使わなければ覚えられないのも事実。(写真:アフロ)

刃物利用の調理経験「何度もある」はほぼ半数

日々の生活を続けるには欠かせないさまざまな家事。子供のうちに経験を重ねてコツを学び取るべきだが、リスクの観点で避けさせる教育方針もある。現状の子供達の経験実態を、国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)報告書から探る。

自炊をする、そこまでいかなくとも料理を手伝うようになると、ナイフや包丁で野菜を切ったり果物の皮をむくことは必要不可欠になる。子供のうちはまだ不器用な場合もあり、刃物を使わせるのは危ないとする意見がある一方、大人とともに料理を実演させてその危なさを教えることこそが大切との意見も多い。また学校で調理実習などにより、利用する機会もあるだろう。今調査の限りでは、刃物を使った料理の経験はおおよそ5割の子供が持っており、ほとんど無い子供は1割前後でしかなかった。

↑ ナイフや包丁で果物の皮をむいたり野菜を切ったことがある
↑ ナイフや包丁で果物の皮をむいたり野菜を切ったことがある

都合5回分のみの公開なため、経年変化の傾向は見出しにくいが、少なくとも減少するような動きは確認できない。

これを直近の2016年度分に関して、回答者となる子供の学年別で見た結果が次のグラフ。

↑ ナイフや包丁で果物の皮をむいたり野菜を切ったことがある(学年別)(2016年度)
↑ ナイフや包丁で果物の皮をむいたり野菜を切ったことがある(学年別)(2016年度)

最近の動向では無くこれまでの経験則を尋ねていることから、当然高学年の方が高い値を示すことになる。またこのような動きを示していることから、少なくともこの数年間に限れば、子供達の間における料理における刃物離れ的なものは起きていないことが分かる。高校2年生では6割強が、ナイフや包丁による調理経験を多数持っていることになる。

タオルやぞうきん絞り「経験無し」はごくわずか

包丁などによる調理と比べれば、多くの子供が体験していることは容易に想像できるのがぞうきん絞り。学校における掃除行為でおおよそ経験はあるはずだが、実情はどうだろうか。

↑ タオルやぞうきんを絞ったことがある
↑ タオルやぞうきんを絞ったことがある

2012年度以降伸びる動きもあるが、おおよそ9割が多分に何度も経験済みで、1割前後は何度かしたことがあると答えている。ほとんど無いとの回答は数%でしかない。

学年別で見ても変化が無く、幼い時からタオルやぞうきんを絞ることは日常的に行っているようすがうかがえる。

↑ タオルやぞうきんを絞ったことがある(学年別)(2016年度)
↑ タオルやぞうきんを絞ったことがある(学年別)(2016年度)

さまざまな理由でできない、しない場合もあるだろうが、概してぞうきん絞りなどはほとんどの子供が経験済みで「やり方を知らない」とのケースは稀であることが確認できる。

包丁を使って料理をしたり、タオルやぞうきん絞りは、家庭内での手伝いにおけるファーストステップ的な行動でもある。包丁関連は刃物に関するリスクもあるため、ある程度成長してからの方がよいかもしれないが、タオルやぞうきんを絞っての掃除は、早いうちから教え込むことをお勧めしたい。

その際、保護者自身が楽しそうに掃除をする様子を見せれば、子供も興味を抱き、積極的に教えを乞うことになるだろう。

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※青少年の体験活動等に関する実態調査

直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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