高齢者の「何でもかんで食べることができる人」と歯の数の関係をさぐる

↑ 自分の歯でかんで食べることは健康にプラスとなる。高齢者の実情は。(ペイレスイメージズ/アフロ)

食べ物をよくかんで食べることは健康に大いに貢献するが、自分の歯が減ってくると、それも難しいものとなる。高齢者の「何でもかんで食べることができる人」と歯の数の関係を、厚生労働省から2018年9月に発表された定期調査「国民健康・栄養調査」(※)の最新版となる2017年分における概要報告書などの公開値から確認する。

まず最初に示すのは、回答者における歯の本数(歯について特に指定は無いが、「8020運動」(厚生労働省と日本歯科医師会が推奨している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動)が設問で引用されていることから、入れ歯や差し歯などは該当しないと考えてよい。なお残存歯数が約20本あれば食品の咀嚼(そしゃく。食べ物を細かくなるまでよくかみ砕くこと)が容易であるとされている)と、「何でもかんで食べることができる」者、つまり咀嚼良好者との関係をグラフにしたもの。右側の高齢者独自の年齢階層では20本以上歯を持つ人の割合は公開されていない。

↑ 「何でもかんで食べることができる」人と歯の保有状況(男女計・年齢階層別)(2017年)
↑ 「何でもかんで食べることができる」人と歯の保有状況(男女計・年齢階層別)(2017年)

20本以上歯を持つ人の割合は40代までは95%を超えているが、50代では9割にまで減り、60代で約7割、70代ではほぼ5割に減ってしまう。残りの5割近くは20本を割り込み、咀嚼良好者には成り難い状態となる。実際、割合そのものは違いがあるが、年とともに20本以上の歯を持つ人の割合と、咀嚼良好者の割合は似たような減少カーブを描いて減っていく。

「何でもかんで食べること」ができない人、具体的には回答者自身がかんで食べる時の状態について「一部かめない食べ物がある」「かめない食べ物が多い」「かんで食べることはできない」と答えた人においては、「何でもかんで食べること」ができる人と比べて、低栄養傾向(国民健康・栄養調査ではBMI≦20kg/平方メートルと定義され、「やせの者」とも表現される)の人が多い実情が確認されている。

↑ 低栄養傾向の人(BMI≦20kg/平方メートル)の割合(65歳以上、男性、年齢階層別)(2017年)
↑ 低栄養傾向の人(BMI≦20kg/平方メートル)の割合(65歳以上、男性、年齢階層別)(2017年)
↑ 低栄養傾向の人(BMI≦20kg/平方メートル)の割合(65歳以上、女性、年齢階層別)(2017年)
↑ 低栄養傾向の人(BMI≦20kg/平方メートル)の割合(65歳以上、女性、年齢階層別)(2017年)

よくかんで食事ができないから低栄養傾向となるのか、低栄養傾向だからよくかんで食事ができなくなるような状態になってしまっているのか、因果・相関関係までは今項目だけでは明らかにできないが、よくかんで食事ができない高齢者は、何でもかんで食べることができる高齢者よりも、低栄養傾向の人が多い実情が確認できる。さらに女性と比べて男性の方が、何でもかんで食べることができる人・できない人の差異が大きく、歯が失われることで生じ得る「食事をかんで食べるのに難儀している状態」が、栄養状態にもより大きな影響を与える可能性を示唆していると解釈ができる。

自分でかんで食事ができないと食事そのものに難儀を覚える、美味しさを体感し難くなるので食事そのものを敬遠する・十分な量を口にしなくなるなど、食と距離を置いてしまう可能性は多分に考えられる。その結果、低栄養傾向となってしまうという推論は、あながち的外れなものでも無いだろう。

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※国民健康・栄養調査

健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。2017年調査分における調査時期は2017年11月中、調査実施世帯数は5149世帯で、調査方法は調査票方式。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。