43.6%の人は「官公庁の文書を読んでいない」
官公庁が示す文書は多くの人が手に取り読んでほしい内容が盛り込まれている。それでは人々はその文書をどこ経由で目にしているのだろうか。文化庁の調査「国語に関する世論調査」(※)の最新版となる2017年度版の概要報告書の内容から確認する。
官公庁では日々多様な発表を文書の形で開示している。昔は直接官公庁やその支部などの公的機関に足を運んで請求しなければ多くの文書は読むことはできず、時折公共の掲示板にポスターが掲示されたり、新聞の折り込みや投函される形でのチラシとして目に留めることができる程度だった。今では各官公庁がインターネットを用いて積極的な情報開示をしており、多くの文書が公開直後から読めるようになっている。
しかし一方で、公開の仕方が十分で無い、広報宣伝の方法に問題があるなどの理由で、周知効果は今一つなのが実情。例えば2017年10月に内閣府が発表した竹島に関する世論調査の結果では、竹島に関する情報の認知経路として官公庁が提供する文書に該当する選択肢の回答率はお世辞にも高いとは言えない。
それでは全般的に官公庁の文書を読むか否かに関して、実情はどのようなものなのか、それを確認した結果が次のグラフ。全体では43.6%の人が、経路を問わず読むことは無いと回答した。
今項目からでは興味が無いので読まないのか、触れる機会が無いので読めないのかまでは分からないが、4割強の人が官公庁の文書を読まない状況は、好ましいとは言い難い。官公庁から一般に周知すべき内容が直接行きわたらないからだ。
読む人においては、もっとも多いルートは「官公庁発行の広報誌など」で38.2%、次いで「官公庁作成のチラシやポスター」が23.3%、「官公庁から出る通達や通知文」が17.0%。新しいメディアに該当する「官公庁のウェブサイト」は15.5%でしかない。複数回答の回答率としては低い感は否めない。
昨今ではインターネットの長所を活かし、動画でビジュアル的な資料を提供したり、ソーシャルメディアなどで即時に情報を開示するなど、官公庁側でも多様な情報発信の創意工夫をしている。しかしながら現状では既存の告知媒体に今一つ及ばない状態なのが実情。あるいはもっと親しみやすいアプローチや気軽に利用できる切り口が必要なのかもしれない。
■関連記事:
紙かインターネットか…公的情報をどのような媒体で受け取りたいのだろうか
※国語に関する世論調査
最新分となる2017年度版は2018年3月に全国16歳以上の男女に対して個別面接調査方式で行われたもので、有効回答数は2022人。調査対象の抽出方式や属性別構成比は非公開。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。