4マスはすべてマイナス、インターネットは10.0%のプラスに(博報堂売上動向:2018年7月分)

↑ インターネットの広告は堅調。(写真:アフロ)

・博報堂DYHD(※)の2018年7月分の売上は前年同月比で4マスはすべてがマイナス。新聞は1割を超えるマイナス。

・インターネットは1割のプラス。

・毎年7月に限り経年推移を見ると2011年を底に大よそ回復基調。

4マスはすべてがマイナス

日本の広告代理店で売上では大手で知名度も高い博報堂DYホールディングス。同社の月次売上で直近分となる2018年7月分が発表された。その内容を精査する。

まずは主要部門ごとの前年同月比を計算し、グラフ化する。

↑ 部門別売上高前年同月比(博報堂DYHD)(2018年7月)
↑ 部門別売上高前年同月比(博報堂DYHD)(2018年7月)

昔ながらの主力メディア、具体的にはテレビ・ラジオ・新聞・雑誌(いわゆる4マス、4大従来型メディア)の動向を確認すると、今回月は紙媒体の新聞と雑誌では双方ともマイナス、ラテと呼ばれる電波媒体も双方ともマイナス。結果としてすべての部門がマイナスとなった。部門別では金額が一番大きいテレビもマイナス3.8%と下げており、合計がマイナスとなったのも、このテレビのマイナスによるところが大きい。

インターネットは1割の上げ幅を計上。前年同月における前年同月比はプラス9.2%と上昇を示しており、その反動による影響を受けているにもかかわらずこの上げ幅。同社におけるインターネット広告の成長ぶりが再確認できる(2年前同月比を試算するとプラス20.2%)。

一般広告はクリエイティブと「その他」がマイナス、アウトドアメディア、マーケティング・プロモーションがプラス。「その他」の下げ幅がやや大きめなのが気がかりだが、金額は小さいので全体に与える影響はあまり無い。

各年6月における売上総額の推移

次のグラフは博報堂DYHDの2006年以降における、今回月となる7月を基準にした毎年7月分の売上高総額をグラフにしたもの。年を隔てた上で同月における比較となるので、選挙やオリンピック、FIFAワールドカップのような、広告と深い関係を持ち、売上に大きく影響を与える事象が無い限り、季節による変動を気にせず中期的な動向を確認できる。

↑ 月次売上総額(博報堂DYHD、億円)(各年7月)
↑ 月次売上総額(博報堂DYHD、億円)(各年7月)

金融危機の勃発、リーマンショックによる景気悪化の加速、そしてそこからの立ち直り、震災や極度の円高に伴う低迷感、そして回復へ。7月動向に限ると、リーマンショックによる不況で落ち込んだ2009年から震災で痛手を受けた2011年を底に、前年比で後退する年がありながらも全体としては順調な回復ぶりを見せている。ただし直近年の2018年では前年比でいくぶん落ち込みを示しており、不安を覚えさせるところがある。上記グラフの通り、4大従来型メディアが総じて軟調であることが主要因なのだが。

次に各部門の具体的な売上高を掌握できるグラフを生成し、その実情を確認する。それぞれの部門の具体的な市場規模や部門間の違いが、成長度合いでは無く現状の売上の観点で把握できる。

↑ 部門別売上高(博報堂DYHD、億円)(2018年7月)
↑ 部門別売上高(博報堂DYHD、億円)(2018年7月)

インターネットは毎月目覚ましい成長率を計上しているものの、売上金額=市場規模としては他の部門と比較すると、どんぐりの背比べレベルでしか無い。また、4大従来型メディアとインターネット以外の一般広告市場が大きな規模を示していること、テレビの広告市場がひときわ巨大であることなどが一目で分かる。テレビだけで全売上の4割強もの額面を示している。

今件解説記事の体裁だが、2017年12月分までと比べると随分とすっきりとした形となった。これは電通において2017年12月分を最後に、月次開示を取りやめることになったのが原因。売上規模は電通の方が博報堂DYHDよりも上のため、日本の広告業界の動向を推し量るのには、博報堂DYHDのみでは少々ぶれが大きいのだが、無いものは仕方があるまい。

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※グラフなどにおける社名や部門の表現について

部門名は一般の呼ばれ方と異なるものもあるが、「インターネットメディア」とはインターネット広告、「一般広告」とは4マスとインターネット以外の、従来型の広告を意味する。

本文内部やグラフでは一部で「博報堂DYホールディングス」を「博報堂DYHD」と表記している。また同社は「博報堂」「大広」「読売広告社」と「博報堂DYメディアパートナーズ」を完全子会社として傘下に置く広告グループの持株会社で、今記事では公開されている「博報堂」「大広」「読売広告社」の広告代理店子会社3社の売上を合算して各種計算を行い、博報堂DYホールディングスの売上としている。また、記事中の表記も原則として「博報堂」は「博報堂DYホールディングス」を意味する。子会社の博報堂単体の動向では無いことに注意。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。