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日本の平均世帯人数と世帯数推移をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ さまざまな世帯が営みを続ける街。その平均人数は。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・平均世帯人数は2.47人、世帯数は5042万5000世帯(2017年)。

・大よそ世帯数は増加、平均世帯人数は減少の傾向。

・単独世帯の増加が世帯数の増加、平均世帯人数の減少の大きな要因。

単独世帯(一人身世帯、単身世帯)の増加に伴い平均的な世帯あたりの人数は減少傾向にあるとの話はよく耳にする。その実情を2018年7月に厚生労働省から発表された国民生活基礎調査(※)の結果を基に確認する。

今調査(1953年開始の「厚生行政基礎調査」など統合前の各種調査含む)において取得されている、1953年以降の日本国内における世帯数そのものの推移、そして世帯の平均人数の動向推移をグラフ化したのが次の図。なおグラフ中に特記はされていないが、2012年分は福島県分が除かれていることに注意。

↑ 平均世帯人数と世帯数
↑ 平均世帯人数と世帯数

1950年代には平均世帯人数が5.00人、具体的には夫婦に子供3人だった事実を確認するに、現状と比較して驚く人も多いに違いない(あるいは祖父母と夫婦、加えて子供から成る三世代による世帯構成も十分考えられる)。これが1970年代までにかけて世帯構成人数は急速に減少し、1961年には4人を切る(子供2人の夫婦)形となる(1961年は3.97人)。

1970年代以降は世帯人数の減少傾向はやや落ち着くものの、1980年代後半以降再び減少幅が大きくなり、1992年には3人を切る(2.99人)。直近の2017年では2.47人。「子供のいない夫婦が多い」少子化傾向だけでは無く、いわゆる一人身の世帯こと「単独世帯」が増加しているのも一因。

一方、その「単独世帯」増加が後押しする形で、世帯数そのものは漸増傾向にある。平均世帯人員の減少が急になればなるほど、世帯数推移も増加している。総人口そのものはほぼ横ばいから漸減の状況にあるのが現状だが、同時に世帯の分散化(少人数による世帯構成化)が進んでいるのが見て取れる。

上記グラフにおける、直近での動向が分かりやすいよう、1990年以降に限定して再構築したのが次の図。阪神・淡路大震災のため兵庫県のデータが除かれた1995年、東日本大震災の影響で被災三県のデータが除かれた2011年(、福島県の分が除かれた2012年)、そして熊本地震の影響で熊本県が除かれた2016年はいくぶんイレギュラーな値を示しているが、それ以外は「平均世帯人員数の減少」「世帯数の増加」といった流れが少しずつ、しかし確実に進んでいるのが確認できる。

↑ 平均世帯人数と世帯数(1990~2017年)
↑ 平均世帯人数と世帯数(1990~2017年)

社会情勢に大きな変化が無い限り、この傾向は継続されるに違いない。

世帯構成員数の変化は、社会そのものの構造変化にも大きく影響する。中長期的な視点で考察・推測した上で、各方面の対応が欠かせないのは言うまでもない。

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※国民生活基礎調査

全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2017年6月1日に世帯票・所得票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票が4万6399世帯分、所得票が6541世帯分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2017年分)は簡易調査に該当する年であり、世帯票・所得票のみの調査が実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分はデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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