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高齢者の事故は自宅内で生じる可能性が高い

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 転倒防止用の手すり。リフォームで整備されていれば転倒事故も防げるが。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・加齢による肉体の虚弱化に対応するため、自宅をリフォームしている人は多いと考えられる。また、まだリフォームしていない人もリフォームをして、自宅に住み続けたいと考える人は少なくない(2015年、60歳以上)。

・事故の発生場所は高齢者もそうで無い人も住宅(≒自宅)が一番多い。高齢者はそうで無い人よりも住宅での割合が高い。

年齢を問わずに発生する事故。しかしその発生場所の傾向は、高齢者とそうで無い人との間には違いがあるようだ。その実情を内閣府が2018年6月に発表した「高齢社会白書」から確認していく。

年を経て肉体が虚弱化した際に、あるいはそれを見越して事前に、自宅をリフォーム(改装)して住み続けたいと考える人は多い。また、年齢階層別の回答値を見る限りでは、多くの高齢者がすでに高齢者向けのリフォームを自宅に施していることが考えられる。

↑ 自分が虚弱化した時に望む居住形態(60歳以上対象、日本限定、年齢階層別)(2015年)
↑ 自分が虚弱化した時に望む居住形態(60歳以上対象、日本限定、年齢階層別)(2015年)

これは見方を変えれば「自宅に住み続けたいが、そのままでは体が弱った自分にはリスクが大きすぎる」との認識が強いと解釈できる。もちろんリフォームの概念そのものが日本にも(高齢化とともに)浸透しはじめたのが原因。さらに高齢者による事故は、その8割近くが住宅内との結果が出ており、その結果もまたリフォームの後押しの要因と考えられる(あるいは何らかの事故を自分で経験して、その上でリフォームを決心する事例もあるのだろう)。若年層と比べると、6%ポイントほどの違いがある(空欄の属性は回答者がゼロ)。

↑ 事故発生場所(高齢社会白書(2018年版))
↑ 事故発生場所(高齢社会白書(2018年版))

特にレジャー施設などと想定される「海・山・川など自然環境」「公共施設」、外出時には足を運ぶことが必要不可欠となる「一般道路」の値は高齢者では年下と比べて低く、住宅における値に積み増しされている雰囲気がある。つまり外出機会・割合そのものが高齢者の方が低い次第。

高齢者は体力などの問題から外出をひかえるようになるため、必然的に自宅内で過ごす時間が長くなり、事故の発生する場所が自宅となってしまう確率は高くなる。高齢者の事故率において住宅≒自宅の値が高くなるのは当然ではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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