半世紀近くにわたる学習塾の月謝の変遷をさぐる

↑ 学校の授業の補完、あるいは受験勉強の場、学習塾。その月謝は…。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・小売物価統計調査の限りでは、中学生向けの学習塾の月謝は1976年から2018年の間に4倍近くに上昇している。

・消費者物価指数を考慮すると、中学生向けの学習塾の月謝は1976年から2018年の間に2.2倍ほどに上昇している。

学習塾の月謝は半世紀近くで約4倍に上昇

学校の授業の補完や受験勉強のため、今では多くの子供達が通う学習塾。その月謝はいかなる推移を示しているのか。その実情を総務省統計局の小売物価統計調査(※)の結果から確認する。

該当項目におけるもっとも古い値は1976年のもの。また2013年4月以降とそれ以前では、

・2013年4月より前…学習塾。月謝。中学生を対象とした塾で2年生。学習内容が補習または進学。学習科目3科目(英語、数学、国語)。週2回または3回。

・2013年4月以降…学習塾。月謝。中学2年生。グループ指導。補習または進学。学習科目5科目(英語、数学、国語、理科、社会)。週2日または3日。

と大きく様変わりし、それに伴い月謝額も跳ね上がる形となっている。これは学習塾業界の状況変化に伴い、より一般的な対象を精査対象とするためのもの。学習塾も時代の流れに伴い、そのスタイルを変えている次第。また2016年1月以降は「学習塾」との表現を止め、「補習教育」としているが、内部説明文面に「学習塾」と追加された以外は変化は無く、同一対象と見なして問題は無い。今記事でも表記は「学習塾」で統一する。

次に示すのは学習塾の月謝推移。

↑ 学習塾の月謝(東京都区部、中学生、円)(1976年~2018年、2018年は直近月)
↑ 学習塾の月謝(東京都区部、中学生、円)(1976年~2018年、2018年は直近月)

やはり対象変更によりイレギュラー的な動きが生じてしまっているが、前世紀末まではほぼ右肩上がりに上昇する一方で、今世紀に入ってからはほぼ横ばい、むしろ漸減する傾向にある。子供の人数の減退により、学習塾の経営も厳しくなり、差別化・競争激化が生じ、値上げがしにくくなったのだろうか。

なお2016年から2017年にかけて小さからぬ下げ幅が生じているが、これは対象銘柄の選定基準に変更は無いものの、具体的な銘柄そのものが内部的に変更したのが原因と考えられる。具体的にどの塾を対象としているのかは非公開のため、確証は無いのだが。

ともあれ、1976年から基準変更直前の2012年までの間に塾の月謝はほぼ3倍、基準が変わってしまったが直近2018年との間には4倍近くもの差が生じている。

消費者物価の動向を考慮すると

続いてこの月謝動向に、消費者物価の変化を反映させて考察する。物価が違えば同じ金額でも価値は変わることから、単純な金額比較で問題が生じる際の対策でもある。

具体的には各年の価格に、それぞれの年の消費者物価指数を反映させた値を試算する。直近2018年の値を基準値として、各年の価格を再計算した結果が次のグラフ。つまりそれぞれの年における物価が2018年と同じ水準との仮定のもとに、各年の具体的な値を換算した結果である。

↑ 学習塾の月謝(東京都区部、中学生、2018年の値を基に消費者物価指数を考慮、円)(1976年~2018年、2018年は直近月)
↑ 学習塾の月謝(東京都区部、中学生、2018年の値を基に消費者物価指数を考慮、円)(1976年~2018年、2018年は直近月)

やや上昇カーブがなだらかになるが、前世紀末までの上昇と、今世紀に入ってからの横ばい傾向に大きな変化は無い。これは消費者物価そのものが1970年後半以降はあまり大きな動きを示さなかったのが原因。1976年から2018年までの上昇度合いは約2.2倍となる。

ちなみに長期的推移を取得できないため今回精査からは除外したが、直近月における小学生の学習塾と高校生向けの予備校の授業料は次の通り。

↑ 学習塾月謝など(東京都区部、円)(2018年4月)
↑ 学習塾月謝など(東京都区部、円)(2018年4月)

予備校の授業料が一番高く、月額換算で5万円超。学習塾の小学生向けは3万6000円程度。中学生向けの学習塾が一番安値となっている。とはいえ、年間分は単純計算でこの12倍。家計にとって小さからぬ負担には違いない。

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※小売物価統計調査

国民の消費生活上重要な財の小売価格、サービス料金および家賃を全国的規模で小売店舗、サービス事業所、関係機関および世帯から毎月調査し、消費者物価指数(CPI)やその他物価に関する基礎資料を得ることを目的として実施されている調査。

一般の財の小売価格又はサービスの料金を調査する「価格調査」、家賃を調査する「家賃調査」および宿泊施設の宿泊料金を調査する「宿泊料調査」に大別。価格調査および家賃調査については、全国の167市町村を調査市町村とし、各調査市町村ごとに、財の価格およびサービス料金を調査する価格調査地区(約27000の店舗・事業所)と、民営借家の家賃を調査する家賃調査地区(約28000の民営借家世帯)を設けている。また、宿泊料調査については、全国の99市町村から320の調査旅館・ホテルを選定している。

価格調査および家賃調査の調査市町村は、都道府県庁所在市、川崎市、相模原市、浜松市、堺市および北九州市をそれぞれ調査市とするほか、それ以外の全国の市町村を人口規模、地理的位置、産業的特色などによって115層に分け、各層から一つずつ総務省統計局が抽出し167の調査市町村を設定している。宿泊料調査では、都道府県庁所在市又は全国の観光地の中から宿泊者数の多い地域を選定し、99の調査市町村を設定している。調査市町村ごとに宿泊者数の多い旅館・ホテル等を調査宿泊施設として選定している。

価格調査については、調査員が毎月担当する調査地区内の調査店舗などに出かけ、代表者から商品の小売価格、サービス料金などを聞き取り、その結果を調査員端末に入力する。家賃調査については、原則として調査世帯を訪問し、世帯主から家賃、延べ面積などを聞き取り、同様に調査員端末に入力する。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。