半世紀近くにわたる高速自動車国道料金の変遷をさぐる

↑ 流通のかなめ、高速道。その利用料金の変遷は。(写真:アフロ)

・高速自動車国道の料金は東京~御殿場(2009年までは東京~大井松田)では漸増。

・消費者物価の動向を考慮すると、高速自動車国道の料金には大きな額の増減は見られない。

高速自動車国道の利用料金は上昇中

日本全土を網羅する高速自動車国道(高速道)は、鉄道網・空路とともに日本の流通を支える大黒柱的存在の交通機関である。先の震災では東日本の随所で寸断されたものの、日本の動脈・静脈たるこれらを一刻も早く回復させるべく関係各方面が超人的な精力を傾け、魔法のようなスピードと仕上がりで復旧させたことは記憶に新しい。そしてその高速道を利用する料金も他の交通料金や商品価格同様、物価とともに上昇を続けている。今回は総務省統計局の小売物価統計調査(※)の結果などを基に、その移り変わりを確認する。

精査対象は「高速自動車道路料金(国道)(普通車、ETC利用時の東京-御殿場間(2009年までは東京-大井松田間))」。「この項目における」最新の年次データは2014年なので、2014年分までが取得可能。日本で高速自動車道路ができたのは1963年(名神高速道路)だが、「小売物価統計調査」上の収録値は1975年以降であることから、その範囲でのグラフ化となる。

他方、小売物価統計調査では2015年1月から調査項目の少なからぬ差し換えが行われており、高速自動車道に関しても料金の調査対象の入れ替えが実施され、該当する地域が無くなってしまった。近い場所も確認できず、2009年から2010年の時のような観察対象の区間変更による対応も難しい。そこで東日本高速道路株式会社が運営する高速道路情報サイト「ドラぷら E-NEXCOドライブプラザ」の高速料金・ルート検索を用い、東京-御殿場間の該当料金を算出し、2015年分以降のデータに充てることとする。

↑ 高速自動車国道料金(1975~2009年:東京-大井松田間、2010~2018年:東京-御殿場間、円)
↑ 高速自動車国道料金(1975~2009年:東京-大井松田間、2010~2018年:東京-御殿場間、円)

料金値上げは数年に一度の割合で比較的穏やかなもの、そして1990年代後半以降は安定した動きを示していた。監視対象が変わった2010年以降は、細かな動きが起きている。これはいわゆる「無料化社会実験」など各種政治・社会情勢に伴うものである。また2014年は4月からの消費税率改定に伴い大きな引上げが実施されており、それが年平均にも表れる形となっている。2015年以降は上記理由により記事執筆時の値がそのまま反映されているが(2014年までのように月次の各値を基にした平均値では無い)、消費税率引き上げに伴う値上げが行われた後の値が示されている。

物価の変動を反映させると…?

学校給食やバス・タクシー同様に、高速道の料金もまた、単純に額面の移り変わりだけで無く、当時の物価を考慮して考えた場合がよいこともある。各家計、利用企業への負担を考えた場合、単純な価格変動だけでは比較が難しいからだ。

そこで各年の料金に対し、それぞれの年の消費者物価指数を考慮した値を算出する。消費者物価指数の各年の値を使い、直近となる2018年の値を基準として他の年の料金を計算する。例えば1975年の料金は1836円との値が出ているが、これは「1975年当時の物価が2018年と同じ水準だった場合、東京-大井松田間の料金は1836円になる」次第。

↑ 高速自動車国道料金(1975-2009年:東京~大井松田間、2010~2018年:東京-御殿場間、2018年の値を基に消費者物価指数を考慮、円)
↑ 高速自動車国道料金(1975-2009年:東京~大井松田間、2010~2018年:東京-御殿場間、2018年の値を基に消費者物価指数を考慮、円)

実額料金の上昇時である1970年代後半から1990年代半ばにかけては、物価そのものも大きく上昇していることもあり、実質的な負担料金はそれほど大きな変化を見せていないことが分かる。そしてそれ以降は実額料金に大きな変化が無い上に物価そのものも安定しているため、実質料金にも大きな変化は見られない。観察対象区間が変更された際に、大きな上昇を示しているが、これは実額料金も同じように上げているので、妙な動きでは無い。また2014年以降の上昇分は、消費税率の引き上げに伴う動きに他ならない。

観察対象区間の変更と相前後して行われた、高速料金に関する各種社会実験だが、現在ではETCに関する割引が行われている。それをのぞけば高速料金は、物価に連動する形でほぼ安定したものといえよう。

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※小売物価統計調査

国民の消費生活上重要な財の小売価格、サービス料金および家賃を全国的規模で小売店舗、サービス事業所、関係機関および世帯から毎月調査し、消費者物価指数(CPI)やその他物価に関する基礎資料を得ることを目的として実施されている調査。

一般の財の小売価格又はサービスの料金を調査する「価格調査」、家賃を調査する「家賃調査」および宿泊施設の宿泊料金を調査する「宿泊料調査」に大別。価格調査および家賃調査については、全国の167市町村を調査市町村とし、各調査市町村ごとに、財の価格およびサービス料金を調査する価格調査地区(約27000の店舗・事業所)と、民営借家の家賃を調査する家賃調査地区(約28000の民営借家世帯)を設けている。また、宿泊料調査については、全国の99市町村から320の調査旅館・ホテルを選定している。

価格調査および家賃調査の調査市町村は、都道府県庁所在市、川崎市、相模原市、浜松市、堺市および北九州市をそれぞれ調査市とするほか、それ以外の全国の市町村を人口規模、地理的位置、産業的特色などによって115層に分け、各層から一つずつ総務省統計局が抽出し167の調査市町村を設定している。宿泊料調査では、都道府県庁所在市又は全国の観光地の中から宿泊者数の多い地域を選定し、99の調査市町村を設定している。調査市町村ごとに宿泊者数の多い旅館・ホテル等を調査宿泊施設として選定している。

価格調査については、調査員が毎月担当する調査地区内の調査店舗などに出かけ、代表者から商品の小売価格、サービス料金などを聞き取り、その結果を調査員端末に入力する。家賃調査については、原則として調査世帯を訪問し、世帯主から家賃、延べ面積などを聞き取り、同様に調査員端末に入力する。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。