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携帯電話とパソコン、小学生から高校生のインターネット利用実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 子供でも容易にインターネットを利用できる時代。その内情は。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・小学生から高校生までにおいて、パソコンを使っている人の9割以上がインターネットを利用している(2017年)。

・スマートフォンは9割強だが、従来型携帯電話では3割強に留まる。

・小学生全体比ではスマートフォンでインターネットを利用している人は17.4%。中学生では46.4%、高校生では89.4%。

数年前までは大人でもハードルが高かったインターネットだが、今や子供でもごく当たり前にアクセスできるようになった。主要な窓口の携帯電話やパソコンで、小学生から高校生はどれほど利用しているのだろうか。内閣府が2018年3月に確定報を発表した、「青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の公開値から、現状を確認していく。

次に示すのは小学生から高校生で主なインターネットアクセス機器として浸透しているデスクトップパソコン、ノートパソコン、従来型携帯電話(ガラケー)、スマートフォン(一般型)の4種類における、各媒体を利用している人のうち、どれほどの割合でインターネットを使っているかを示したもの。例えば男子小学生の従来型携帯電話の値は33.3%とあるので、男子小学生で従来型携帯電話を利用している人のうち、その携帯電話でインターネットを使っている人は3割強となる。なお「インターネットを利用」とは該当端末でインターネットを利用してウェブサイトやコンテンツを見たり、文章を書きこんでいる場合。インターネットを利用せずに、その端末の機能を使っている場合は該当しない。

↑ パソコン・携帯電話におけるインターネット利用状況(2017年、学校種類・男女別、各媒体利用者限定)
↑ パソコン・携帯電話におけるインターネット利用状況(2017年、学校種類・男女別、各媒体利用者限定)

パソコンは学校種類・男女別を問わず大よそ9割がインターネットを利用すると回答している。元々子供が自分のパソコンを所有している状況は想定しにくく、家族との共用、あるいは借りる形で利用していることから、インターネットへのアクセスが前提となる調べもの、動画の視聴などを、保護者監視・目視の前提で利用しているのだろう。

他方従来型携帯電話は学校種類別では高学年、男女別では男子の方がインターネット利用率が高い。パソコンやスマートフォンと比べて利用率が低いのは、防犯用として持たされていることもあり、インターネットの利用を必要としない、ノータッチとさせるパターンが多いからだろう。学校種類が上になると利用率も上がるが、それでも性能がハードルとなり、高校生でも5割から6割台。

スマートフォンでは小学生の利用者でも9割強がインターネットを利用している。見方を変えれば1割近くは「スマートフォンを利用しているが、インターネットへはアクセスしていない」ことになる。これも保護者がリスクを考慮した上で、利用を差し止めているものと考えられる。大よそ音声による連絡用、よくて内蔵アプリなどインターネットへのアクセスを必要としないアプリのみの利用を許諾しているのだろう。

もっとも、学校種類間における差異はあまり無い。小学生では92.2%だが、中学生で96.4%、高校生では98.5%とほぼ全員。スマートフォンを利用できる環境にある時点で、ほとんどの人はインターネットも利用している・利用の許可を受けていると表現した方が適切かもしれない。

これを端末利用者では無く、各属性に対する比率で算出したのが次のグラフ。各端末の普及率が大いに反映される形となる。例えば小学生男子全体で、従来型携帯電話を使ってインターネットにアクセスする人は1.5%のみ。元々従来型携帯電話を利用している人が少ないため、最初のグラフの結果から値が大いに削られる。

↑ パソコン・携帯電話におけるインターネット利用状況(2017年、学校種類・男女別、各属性全体)
↑ パソコン・携帯電話におけるインターネット利用状況(2017年、学校種類・男女別、各属性全体)

パソコンとスマートフォンは利用者の大半がインターネットを利用していることもあり、大よそ端末自身の利用率がトレースされる形となっている。高校生は89.4%、女子に限れば90.8%が、スマートフォンを利用してインターネットにアクセスしていることになる。パソコンで普及率の高いノートパソコンですら高校生全体で17.7%、女子に限っても19.3%に過ぎない状況と比較すれば、いかに高校生の間でインターネット=スマートフォン的な状況が一般化しているか、その実情が分かる。

また、パソコンと携帯電話との立ち位置を見ると、小学生ではノートパソコンとスマートフォンの差異は数%ポイントでしかない。ところが中学生となると一気にスマートフォンの躍進で差は約3倍にまで広がる。とりわけ女子の伸び方が著しい。パソコンも小学生と比べて値は増加しているが、その伸び方はゆるやかなものである。

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※青少年のインターネット利用環境実態調査

直近年度分は2017年11月3日から12月3日にかけて2017年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3288人(うちウェブ経由は122人)、保護者は3469人(うちウェブ経由は44人、郵送回収法は26人)。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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