「子供のパソコン離れ」は進む…小学生から高校生のパソコン利用率の実情をさぐる

↑ 授業ではパソコンを使う機会も多々あるが、「使っている」との認識なのか。(写真:アフロ)

・小学生のパソコン利用率は14.3%、中学生は22.2%、高校生は25.8%(2017年)。

・2010年以降に限れば、小学生から高校生のパソコン利用率は減少中。

・単純なパソコン利用率とパソコンを使ったインターネット利用率に大きな違いは無い。

2010年以降の小学生から高校生のパソコン利用率

ビジネス用、あるいは技術研究用の汎用コンピューターでは無く、個人向けのものとして各企業から発売されているパーソナルコンピューター(パソコン)。インターネットの普及に伴い、インターネットへのアクセスツールとして欠かせない存在となり、また高性能化と廉価化を経てデスクトップパソコンからノートパソコンへ、その主流は移りつつある。そのパソコンは子供の間ではどこまで利用されているのだろうか。内閣府が2018年3月に確定報を発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)から、「子供のパソコンの利用状況」を確認する。

技術的、価格的ハードルの高さから、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォン双方)と比べて保有・利用ハードルが高いものの、パソコン(デスクトップ、ノート双方を含む)もまた、デジタル社会においては、特にインターネットの窓口として欠かせないデジタル機器の一つ。そのパソコンをデスクトップ・ノートを問わず、そしてインターネットへの接続をしているか否かに関わらず、利用しているか否かを尋ねた結果が次のグラフ。単純に利用しているか否かを尋ねているため、そのパソコンの所有権を回答者自身が有しているかは問われていない。回答者当人が「利用している」と認識している割合。「利用したことがある」では無いことに注意。

↑ あなたはパソコンを利用しているか(場所を問わず、デスクトップ・ノートを問わず、インターネットへの接続を問わず)
↑ あなたはパソコンを利用しているか(場所を問わず、デスクトップ・ノートを問わず、インターネットへの接続を問わず)

昨今ではインターネットに初めてアクセスする端末が、パソコンからスマートフォンやタブレット型端末へと急速にシフトし、その便利さからその環境に慣れ親しみ、パソコンを敬遠する動きが若年層の間に広まり、いわゆる「パソコン離れ」「キーボード離れ」が起きているとの話もある。元々2010年から2013年にかけてその動きがあったものの、2014年では急激に加速化した感がある…

…ように見えるのだが。「青少年のインターネット利用環境実態調査」は経年調査ではあるが、昨今のインターネットに関連する環境の急激な変化に対応すべく、2014年調査分からは調査内容を大幅に差し替えている。今件該当部分も、2013年までは具体的に「自分専用のパソコンを使っている」「家族と一緒に使っているパソコンを使っている」など使用例を挙げた上で使っているか否かを尋ねており、その中には漫画喫茶や学校での利用も明記されている。ところが2014年以降は単に「下記の機器を利用していますか」とだけ尋ねており、その中にパソコンが含まれているのみとなっている。

具体例が挙げられなかったことから、「使っている」との言葉の解釈を回答者が、2013年までは多分に「その場所で使ったことがある」と経験則的な意味でしていたのに対し、2014年以降では「日常茶飯事的に利用している」と読み解く事例が増え、結果として回答率が減った可能性がある。そのため、単純比較をして「1年間で半減、それ以下になった」とし、急激な減少傾向が生じたと断じるのは早計に過ぎる。

他方、インターネットの窓口として小中高校生の間にスマートフォンなどが急速に浸透しているのも事実。減退傾向が生じていることに違いはあるまい。

直近分の2017年では前年2016年からさらに確実に減少。小学生・中学生・高校生ともにすでに3割を下回り、小学生では2割を割り込む状況となっている。回答者の「利用している」との認識の範ちゅうにおいて、高校生ですら1/4程度しかパソコンは利用されていない。つまり高校生の7割強はパソコンとはほぼ無縁の状態にある(現実には授業などで使うことがある程度)実情は認識しておく必要がある。

「パソコンを使っているがインターネットは使っていない」事例

上記調査項目は「インターネットへの接続を問わず」との条件に基づいた、パソコンの利用状況。現在ではパソコンの利用とはインターネットの利用とほぼイコールであり、インターネットを利用しないパソコンの利用は、意図的にインターネットへのアクセスを禁じた上でのごく限られたソフトウェアの利用ぐらいしか想定できない。例えばお絵かき用のソフトや、特定のゲームソフト、教育用ソフトなどの専用機として使う事例。

そこで単純にパソコンを利用しているか否かの利用率と、パソコンでインターネットを何らかの形で利用している利用率それぞれについて、学校種類・男女に区分した上で確認したのが次のグラフ。

↑ あなたはパソコンを利用しているか(場所を問わず、デスクトップ・ノートを問わず)(単純利用率とパソコンでインターネット利用率)(2017年)
↑ あなたはパソコンを利用しているか(場所を問わず、デスクトップ・ノートを問わず)(単純利用率とパソコンでインターネット利用率)(2017年)

例えば家庭用ゲーム機の場合、単純利用率とインターネットを利用した利用率とでは大きな差異が生じる。しかしパソコンの場合は大よそイコールネット利用となるため、大きな差は生じていない。今なお「パソコンを利用する」は「インターネットを利用する」と見てよさそうだ。

一方、その利用率そのものを確認すると、小学生では男子の方が上、中学生や高校生でほぼ同率となる。パソコンへの興味の持ち方や保護者の姿勢が反映しているのだろうか。

なお前年比を計算すると次の通りとなる。

↑ あなたはパソコンを利用しているか(場所を問わず、デスクトップ・ノートを問わず)(単純利用率とパソコンでインターネット利用率)(前年比、ppt)(2017年)
↑ あなたはパソコンを利用しているか(場所を問わず、デスクトップ・ノートを問わず)(単純利用率とパソコンでインターネット利用率)(前年比、ppt)(2017年)

単純に機種利用ベースでも、インターネット利用端末としても、小学生から高校生の間においてパソコン離れが進んでいることが分かる。特に小学生の男子と高校生の男子において著しい。スマートフォンの機能向上やアプリの充実が多分に影響していると考えられるが、将来の選択肢が確実に狭まることを考えると、憂慮すべき状況には違いない。

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※青少年のインターネット利用環境実態調査

直近年度分は2017年11月3日から12月3日にかけて2017年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3288人(うちウェブ経由は122人)、保護者は3469人(うちウェブ経由は44人、郵送回収法は26人)。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。