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地元面、社会面、政治面、経済面…それらより読者が満足している新聞の記事は

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 新聞記事で満足されているのは…?!(ペイレスイメージズ/アフロ)

・読者が一番満足しているのはテレビ・ラジオ欄。

・生活に密着した情報やエンタメ系の記事は満足度は多い。

・男性は「社会面」、女性は「地元面」の方が満足派は多い。

多様な切り口で社会を知ることができるのが、新聞の長所。その新聞の各分野の記事が、どれほどまでに読者に満足されているのかについて、新聞通信調査会が2018年1月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果から確認する。

次に示すのは、新聞の各分野の記事をその方向性などで区分し、それぞれの記事内容の満足度に関して全般的に「満足している」「まあ満足している」「どちらとも言えない」「やや不満である」「不満である」「ほとんど読まない」のいずれかから選んでもらい(新聞そのものを購読・閲読していない場合の選択として「無回答」も回答には加わる)、そのうち「満足している」「まあ満足している」を満足派と見なし、その回答者の割合を示したもの。例えばテレビ・ラジオ欄は55.2%とあるので、全体の5割強は新聞のテレビ・ラジオ欄に満足していることになる。

↑ 新聞の記事の満足度(満足派の回答率、2017年度)
↑ 新聞の記事の満足度(満足派の回答率、2017年度)

群を抜いて満足されている記事は「テレビ・ラジオ欄」。5割強の人が満足している。ある意味、一番信頼できる、間違いの少ないコーナーでもあり、また日常生活において必要不可欠な、需要のもっとも大きい情報の定期的な提供の場でもあることから、この値の高さも納得できる。次いで「地元面」「社会面」「スポーツ・芸能面」と、生活に密着した情報やエンタメ系の情報が上位を占め、専門的な切り口の情報はやや値が低い。そしてまた一段と値を落とし、社説が最後についている。

続いて主な項目の属性別動向。6項目しかグラフ上に存在しないのは、属性別まで値が公開されているのがこれらの項目のみだからに他ならない。

↑ 新聞の「テレビ・ラジオ欄」「地元面」「社会面」に満足している(2017年度、属性別)
↑ 新聞の「テレビ・ラジオ欄」「地元面」「社会面」に満足している(2017年度、属性別)
↑ 新聞の「政治面」「経済面」「国際情勢面」に満足している(2017年度、属性別)
↑ 新聞の「政治面」「経済面」「国際情勢面」に満足している(2017年度、属性別)

一番満足度の高い記事「テレビ・ラジオ欄」は5割強の人が満足しているが、これはテレビやラジオを用いる時に欠かせない記事で、しかも毎日のように役立つ場面に遭遇するからに他ならない。最近ではインターネットで番組編成表を容易に取得できるようになったが、それでもなお有益であるとの認識が強いようだ。属性別では女性の方が、そして高齢者の方が役立つとの回答率が高くなっている。元々テレビ・新聞への執着が強い層であるがゆえの結果であると同時に、インターネットを用いて番組編成表を取得する発想に至らない、その手立てが無い、取得ハードルが新聞経由の方が低いと認識している人が多いからなのだろう。

続いて「地元面」「社会面」がほぼ同率で5割足らず。男性は「社会面」、女性は「地元面」の方が満足しているとの回答が多い。それぞれの性別で使う場面が多いからだと考えれば納得も行く(女性は家事をまかなう機会が多く、それ故に地元情報の必要性も強いものとなる)。年齢階層別もほぼ年とともに満足度が上昇していく。ただし20代から30代までと40代以降との間で、一種の断絶的な大きな差異が生じている動きには注目したい。「ほとんど読まない」(そしてその少なからずは新聞そのものを閲読していない)に値が引っ張られているものと考えられる。要は新聞そのものを読んでいなければ、満足のしようも無い次第。

「政治面」「経済面」「国際情勢面」はいくぶん低め。男女別では男性の方がこれらの記事は満足度が高く出ている。年齢階層別では20代から30代までの満足度の低さ、40代以降になると一段満足度が上がる状況は変わり無い。これも新聞そのものを購読していない層の存在が影響しているのだろう。

今件各項目は新聞非購読層も含めた回答のため、当然読んでいない人は満足のしようが無い。特に20代から30代においては新聞そのものの購読・閲読率も、値の動向に作用している。それとともに新聞の読者が、各属性でどの分野の記事を好み、読み進めているかが大よそ把握できる。「テレビ・ラジオ欄」は別枠にしても、「地元面」「社会面」が強いのは、大よそ従来の「新聞」に対するイメージ通りといえよう。

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※メディアに関する世論調査

直近分となる第10回は2017年11月2日から11月21日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3169人。有効回答者の属性は男性1526人・女性1643人、18~19歳63人・20代274人・30代422人・40代567人・50代504人・60代601人・70代以上738人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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