お年寄りの「一人ぼっち」状態の実情をさぐる

↑ 一人もまた楽し、という人もいるが…(写真:アフロ)

・60歳以上の単身世帯と高齢者夫婦世帯とでは前者の方が一人でいる時間は長い。

・60歳以上の単身世帯では年上ほど一人でいる時間が長くなるが、高齢夫婦世帯では大きな変化は無い。

・高齢夫婦世帯では年上ほど夫婦でいる時間が長くなる。

高齢化で問題視されている事案の一つに「高齢者の一人ぼっちな状態」、いわゆる孤独化が挙げられる。その実情を総務省統計局が発表している社会生活基本調査(※)の結果から確認する。

次に示すのは単身世帯の60歳以上、そして高齢者夫婦世帯(夫婦のみの世帯のうち、夫が65歳以上、妻が60歳以上の世帯)における、「一人でいた時間」の平均値。週全体平均なので平日5日分と土曜・日曜を合わせた上で7で除算している。また高齢者夫婦世帯における60~64歳の男性の値は、条件に合致しないので空欄となっている。

↑ 単身世帯及び高齢者夫婦世帯の60歳以上における一人でいた時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)
↑ 単身世帯及び高齢者夫婦世帯の60歳以上における一人でいた時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)

単身世帯と高齢者夫婦世帯とでは一人でいる時間に大きな差があり、単身世帯の方が長い結果が出ている。しかも単身世帯では年上となるに連れてますます時間が延びる傾向がある。再就職などで職場に足を運んでいれば他の就労者とともにいる時間もあるが、完全に職から離れてしまえばその機会も無い。歳が上になるに従い、職に就いている人も少なくなるため、当然一人でいる時間は長くなる。75歳以上は単身世帯では1日19時間強(睡眠時間含む)も一人でいる計算になる。

これが高齢者夫婦世帯になると、一人でいる時間は12時間から13時間に留まる形となる。しかも年を重ねても増えることは無く、むしろ減る傾向にある。夫婦でいる時間が長くなるのが、その理由。

↑ 高齢者夫婦世帯の家族といた時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)
↑ 高齢者夫婦世帯の家族といた時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)

心身の衰えとともに外出する気概も減ってしまうのだろう。また、年とともに睡眠時間が延びていくのも、夫婦一緒にいる時間が延びる理由ではある。

補足をしておくと、一人暮らしにおける孤独感は、昔と比べて現在では随分と解消可能な手段を確保できる。自分以外の挙動を知るのには、昔ならばリアルタイムではテレビやラジオ、タイムラグが生じる形で新聞や雑誌程度でしか無く、しかも情報は受け取るばかりで自分から発信することはかなわない。後は外出するか電話をかけるしかなかった。

ところが現在ではインターネットを用いることで、リアルタイムでもタイムラグの生じる情報でも自由自在に取得できるだけで無く、自ら情報を発信してその反応を得ることもできるようになっている。少なくとも精神的な「一人ぼっち」状態は、随分と緩和できるのではないだろうか。

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※社会生活基本調査

5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。