幼子がいる世帯の平日の帰宅時刻の推移をさぐる
・ 6歳未満の子供がいる世帯における平日の帰宅時刻は共働き世帯で夫が20時15分、妻が17時16分。
・10年間にわたる夫の変化を見ると、祖父母がいる共働き世帯の帰宅時刻は遅くなる傾向がある。
・10年間にわたる妻の変化を見ると、夫婦と子供のみの世帯では帰宅時刻が遅く、祖父母がいる共働き世帯の帰宅時刻は早くなる傾向がある。
幼い子供がいる世帯では就業している保護者の帰宅時刻はどのような実情なのだろうか。その現状と過去からの推移を、総務省統計局が発表している2016年社会生活基本調査(※)の結果から確認する。
子育てへの注意関心が高まり、共働き世帯の増加に伴い家事分担や育児の負担に関わる注目が集まる昨今、男性への家事・育児の時間に関心が寄せられている。しかしながら1日は24時間しか無く、睡眠を取らないわけにもいかないため、家事・育児の時間を割くには自宅にいる時間を伸ばすしかない。そのため就労して帰宅する帰宅時刻が問題となる。
特に手間がかかる6歳未満の子供がいる世帯における、平日の平均的な帰宅時刻は次の通り。専業主婦世帯は妻が就労していないので、当然帰宅時刻は無い(以下同)。
この帰宅時刻に関して、社会生活基本調査でさかのぼれる過去の分まで取得して反映させたのが次のグラフ。残念ながら2006年より前は調査の対象項目として挙げられていないので、当然調査結果も無い。
まず夫。夫婦と子供のみの世帯では帰宅時刻に大きな変化は無いように見える。他方、夫婦と子供に加えて、夫婦の親(子供から見れば祖父母)の世帯では、専業主婦世帯では傾向だった動きは無いものの、共働き世帯では帰宅時刻が遅くなる傾向が見られる。この10年で40分近く遅くなっている。
そして妻。専業主婦世帯では就労からの帰宅そのものが無いので空白になっているが、共働き世帯では、夫婦と子供のみの場合は帰宅時刻が遅くなり、祖父母もいる世帯では早まる傾向が見受けられる。祖父母もいる共働き世帯では、妻の帰宅が早まり、夫が遅くなるという、相反する動きが生じており、注目すべき動向には違いない。
今件はまだ3回分しか調査の結果が取得できない項目で、傾向だった動きも確証度はさほど高く無い。とはいえ、共働き世帯の帰宅時刻がどのような変化を遂げているかは、男性の家事・育児問題や共働き世帯を精査する上で知っておいても損では無いだろう。
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※社会生活基本調査
5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。