妻の家事時間は共働きか否かで大きく変わる

↑ 兼業主婦は専業主婦と比べて家事に費やせる時間は少ないように思えるが、実態は?(写真:アフロ)

専業主婦と共働き世帯の主婦を比較すると、当然専業主婦の方が家事に費やせる時間は多く取れることになる。実際にはどれほどの違いが生じているのだろうか。総務省統計局による社会生活基本調査(※)の公開値から確認する。

今調査では生活様式に関して20種類に区分している(※※)。今回は家事関連(「家事」「介護・看護」「育児」「買物」)と、その1要素である「育児」にスポットライトを当て、子供がいる夫婦世帯に限定し、夫婦が共に働き妻は兼業主婦となる「共働き世帯」と、夫が働き妻が無業(=専業主婦)の世帯「夫有業・妻無業」(専業主婦世帯)における時間の差異を見ていく。

まずは「家事関連」全体。妻が兼業主婦でも専業主婦でも、夫の時間に差異はほとんど無い一方、妻は約3時間の差異が確認できる。

↑ 共働きか否か別・生活時間(家事関連)(2016年、週全体、夫婦と子供の世帯の夫・妻)(時間:分)
↑ 共働きか否か別・生活時間(家事関連)(2016年、週全体、夫婦と子供の世帯の夫・妻)(時間:分)

専業主婦世帯に比べて共働き世帯では、夫婦合わせた「家事関連」に費やす時間が1日あたり3時間ほど少ないことになる。家事を色々と工夫して時間短縮の努力をしないと、家の中が煩雑なものになりかねない。育児の時間も少なからずの部分を保育園などで代替しているのだろう。なお今件は平日だけでなく土日も合わせた週全体の平均であることを考えると、共働き世帯で「平日は忙しいので、お互いが休みの時にまとめて、あるいは夫が積極的に家事を行い、世帯全体として専業主婦世帯並の家事時間を確保する」との動きは無いようだ。

家事の中でも特に問題視されることが多い「育児」に割く時間はどうだろうか。これは子供の年齢により面倒を見なければならない(=育児の)時間は大きな違いを見せるため、末子の年齢別に区分もして併せて確認する。

↑ 共働きか否か別・生活時間(家事関連のうち育児)(2016年、週全体、夫婦と子供の世帯の夫・妻)(時間:分)
↑ 共働きか否か別・生活時間(家事関連のうち育児)(2016年、週全体、夫婦と子供の世帯の夫・妻)(時間:分)
↑ 末子の年齢階層別生活時間(家事関連のうち育児)(2016年、週全体、夫婦と子供の世帯の夫・妻)(共働き世帯)(時間:分)
↑ 末子の年齢階層別生活時間(家事関連のうち育児)(2016年、週全体、夫婦と子供の世帯の夫・妻)(共働き世帯)(時間:分)
↑ 末子の年齢階層別生活時間(家事関連のうち育児)(2016年、週全体、夫婦と子供の世帯の夫・妻)(夫有業・妻無業世帯)(時間:分)
↑ 末子の年齢階層別生活時間(家事関連のうち育児)(2016年、週全体、夫婦と子供の世帯の夫・妻)(夫有業・妻無業世帯)(時間:分)

まず双方の種類の世帯とも、末子の年齢が幼いほど多くの時間を費やしている。健康上不安定な場合が多く、そばにいなければならない時間も長くなる。夜泣きなどで通常の睡眠時間帯に起こされる事例も少なくは無い。0歳児の時には妻は共働きで6時間近く、専業主婦では6時間45分もの長さとなる。差は47分だが共働きの妻においても長時間であることは疑いの余地は無い。夫は約1時間で大きな差は無し。手間の必然性を考えれば、他の行動より優先して時間を割かねばならないのは容易に理解できる。共働き世帯で妻が平均6時間近くの育児時間は相当無理をしている状況だが、短時間のパートで無ければこの時間は絞り出せないだろう。

違いが出てくるのは末子の年齢が1歳以降。専業主婦では相変わらず長時間を育児に費やせるが、共働きでは育児時間が専業主婦と比べて大幅に減少する。これは子供の年齢が1歳を超えたぐらいから、妻が長時間のパートなどに勤める状況を表している。保育施設や仕事場の子供預り所、あるいは祖父母に任せるなど、選択肢は人それぞれだが、面倒を見切れない時間をサポートしてもらうことになる。

もっとも末子の年齢が9歳以上ぐらいになると、いわゆる「育児」の時間はほとんど必要が無くなり、種類世帯の差異は誤差の範囲に収まることになる。見方を変えれば、末子が1~8歳ぐらいの間において、共働き世帯における育児時間の不足が懸念されることになる。これは単純に「時間」のある無しとしてだけでなく、上記にある「保育施設」に代表される代替し得る手立てを使う場合の経済面、手立てを確保するまでの手間の負担の懸念も意味する。

一方どちらの種類世帯でも夫は有職状態にあることから、末子の子供に伴う育児時間の変移には差はほとんど無い。今件は週全体の平均値なので、土日にそれなりの育児をした上で、結果としてこの値が出ていることになる。「夫がもう少し、できれば仕事が休みの土日だけでも」のような意見もあるだろう。

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※社会生活基本調査

5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。

※※生活様式に関して20種類に区分

「睡眠」「身の回りの用事」「食事」「通勤・通学」「仕事(収入を伴う仕事)」「学業(学生が学校の授業やそれに関連して行う学習活動)」「家事」「介護・看護」「育児」「買物」「移動(通勤・通学を除く)」「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」「休養・くつろぎ」「学習・自己啓発・訓練」「趣味・娯楽」「スポーツ」「ボランティア活動・社会参加活動」「交際・付き合い」「受診・療養」「その他」

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。