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誤解を与えるかもしれないと認識されている方法のトップは「SNSやブログでのメッセージ」

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 自分の意図とは別の解釈をされたことが分かり、驚愕。こんな経験、ありますか?(ペイレスイメージズ/アフロ)

自らの考えを他人に伝える方法が文字で構成された文章であり、その文章を具体的に伝達する手段としては口頭で、手紙で、電話による通話で、電子メールでなど、多種多様に及ぶ。しかしながら文章の表記方法が上手でなかったり、使った手段を相手が軽んじていると、意図が上手く伝わらない、誤解される可能性もある。今回は文化庁が2017年9月に発表した定期調査「国語に関する世論調査」(※)の報告書から、意図を伝える際の手段と誤解のリスクについて確認する。

次に示すのは回答者にとって最も親しい人に対し、何かを伝える際に誤解やトラブルを招きやすいと感じる手段・方法を複数回答で尋ねた結果。最も親しい人の具体例は挙げられておらず、何を伝えるかも例示は無い。ある程度意思疎通ができており、いわゆる「ツーカーの仲」であるとの前提だと解釈すれば良いのだろう。

↑ 最も親しい人に対して、誤解やトラブルを招きやすいと感じる手段・方法は何か(2016年度、複数回答)
↑ 最も親しい人に対して、誤解やトラブルを招きやすいと感じる手段・方法は何か(2016年度、複数回答)

最大値を示した選択肢は「SNS(ソーシャルメディア)やブログでのメッセージ」で44.1%。ほぼ同率で「携帯電話(従来型とスマートフォン双方、以下同)やパソコン等でのメール」が43.5%。「SNSやブログでのメッセージ」がオープンな場での書き込みなのか、それともダイレクトメッセージの類による第三者が閲覧できない状態での意思表示なのかまでは読み取れないが(あるいはLINEのようにクローズな環境下でのやり取りも含まれているのだろう)、いずれにせよ意思伝達ハードルが低い手段を用いると、意図が伝わらない、誤解をされかねないとの認識は多々あるようだ。あるいはすでに経験をしている人も多いのだろう。

理由までは報告書には説明が無いものの、これらの手段を用いた場合「フランクな表記をしてしまう」「普段から使っている気軽な手段のため、真剣に考えていないのではと誤認されてしまう」辺りが誤解の原因としてはありうる。

次いで多いのは「携帯電話等での通話」「固定電話での通話」が続くものの、同意率は1割台。意外なのは「手紙や葉書」よりも「テレビ電話等相手の顔を見ながらの通話」の値の方が低いこと。「直接会っての会話」よりも低い、つまり誤解は与えにくいと考えられている。単なる誤差の結果なのか、実際に直接会うよりもリアルタイムで道具を通して顔を見せあった方が誤解されにくいと考えているのか。あるいは人前であがってしまい誤解される表現をしてしまう人には、テレビ電話を用いた方が良いと考えられているのかもしれない。

誤解されやすいと思われている手段の上位について、年齢階層別の回答率を見たのが次のグラフ。

↑ 最も親しい人に対して、誤解やトラブルを招きやすいと感じる手段・方法は何か(2016年度、複数回答)(上位陣、年齢階層別)
↑ 最も親しい人に対して、誤解やトラブルを招きやすいと感じる手段・方法は何か(2016年度、複数回答)(上位陣、年齢階層別)

「SNSやブログでのメッセージ」は若年層ほど高い値が出ているが、普段からSNSやブログを多用しているのが若年層であることから、誤解される機会も増えうると考えれば道理は通る。自分が使わない手段は誤解されようもない。電子メールは中堅層が多く、通話は高齢層の方が高めに出るのも、普段はどのような意思疎通手段を用いているかの表れだろう。未成年者は電子メールよりもソーシャルメディアを多分に用いているとの話は他調査でもよく見かける話だが、その裏付けにもなる。

今結果では例えば16~19歳では8割以上の人が「SNSやブログでのメッセージで最も親しい人との間で、誤解によるトラブルを招きやすい」と感じている。意思疎通の難しさゆえの悩みなのだろう。高齢層で高い値が出そうな「電話での通話」「直接会っての会話」などの年齢階層別の動向も見たいところではあるのだが。

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※国語に関する世論調査

文化庁が毎年実施している調査で、直近分は2017年2月から3月にかけて日本全国の16歳以上の男女に対して個別面接方式にて実施。調査対象総数は3566人、有効回収数は2015人。対象抽出方法などは未公開。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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