米国にとって今、そして将来重要なパートナー国は?
「パートナー」とは様々な意味合いを持つ言葉。配偶者のように一生を寄り添う深い意味を持つ場合もあれば、仕事の上での共同作業相手や取引先のような特定の視点における親しい関係を意味することもある。今回は外務省が2017年5月に発表した、アメリカ合衆国における対日世論調査(※)の結果から、政治や経済、外交方面などを包括した、総合的な国同士の付き合いとしての「パートナー」となる国に関するアメリカ合衆国国民の想いを確認する。
次に示すのはアメリカ合衆国の一般人に対し、「現在重要なパートナー国は次のうちどの国か」「今後重要なパートナー国は次のうちどの国か」に関して、複数回答で尋ねた結果。一般人における各国への認識、信頼、結びつきにおける総合評価的な値と見て良いだろう。要は「今現在この国との付き合いは大切」「今後この国との付き合いは大切になるに違いない」とアメリカ合衆国民がどの国に対して思っているか。
現在においてパートナーとの認識度が一番高い対象国はイギリス。大よそ3/4の人がイギリスは重要なパートナーだと考えている。次いでカナダ、ドイツが続き、日本はその次となる。物理的な距離感ではなく、経済的な観点、政治外交面での評価を積み重ねて、その総合点の高い順だと考えれば、納得のいく値ではある。
一方今後となるとトップはやはりイギリスだが、ほぼ同率でカナダが横に並び、次いで日本がドイツに割って入る形となる。1%ポイントの差なので誤差領域ではあるが、将来性の観点では日本はドイツよりも高い評価を受けているようだ。
大よその国が現在・今後でさほど変わりない順位を示しているが、イギリスやカナダが現在の値の方が高いのに対し、それ以外の国では今後の方が値は高い。特に中国やロシアのような対峙関係にあるとも思われている大国、サウジアラビアのような新興国、ブラジルやアルゼンチンのような南米諸国において大きな伸びが確認できる。とりわけ中国とロシアの現在・今後間の差異は大きく、一般人においては今後は大国同士の協調関係が今まで以上に必要になるのではとの認識があると解釈できる。
今設問は直近となる2015年分からの設定で、過去からの動向変化は分からない。また、例えば経済面と政治外交面で仕切り分けすれば、それぞれの国のパートナー認識度は大きな違いをみせるはずだ。次年分公開以降は値の変化が楽しみではあるし、可能ならば多方面からの認識を見たいものではある。
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※アメリカ合衆国における対日世論調査
外務省がニールセン(Nielsen)社に委託して米国居住者に対して行った調査で、有効回答数は一般人1012人(18歳以上)・有識者200人(政官財、学術、マスコミ、宗教、労働関係などで指導的立場にある人物)。電話により2016年2月18日から3月14日に行われ、信頼度95%の標本誤差は一般で±3%・有識者で±7%。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。