IP電話は増加中、でも全体では減少継続…固定電話数の動向をさぐる
携帯電話、特にスマホの普及に連れ、電話の利用形態が世帯単位から個人単位へとシフトし、それに伴い固定電話の利用状況も減退を見せている。その実情を総務省が7月に発表した情報通信白書の内容から確認する。
同じく総務省が発表している、電気通信サービスの契約数及びシェアに関する定期報告書によれば、携帯電話の普及率は1995年時点では1%台だったのが、2000年には4割を超え、最新データでは128.0%との値が出ている。
一方固定電話(電話の設置を希望する契約者と、NTT東西との契約に従って敷設される電話回線による加入電話に加え、IP電話、さらにはCATV電話、そしてNTT東西以外の電気通信事業者が提供する直収電話も含めた総計)は漸減傾向を続けており、直近の2016年度末(2017年3月末)には5540万件となっている。携帯電話の普及率上昇と相反していること、昨今においては固定電話を持たずに携帯電話のみの世帯も増えていることから、電話インフラの所有・利用のトレンドが確実に変化を遂げつつあるのが分かる。
また固定電話内部においても、NTT東西加入の加入電話は、一般の加入電話・ISDN共に減少する一方、IP電話は漸増を続けており、直近では全固定電話のうち6割近くの59%をIP電話が占める形となっている。停電時に使えない、緊急・特殊通話ができない場合もあるなどの短所も有しているが、安価に設置・利用できることから、固定電話を必要とする場面でのIP電話の利用は浸透を続けており、今後も契約数そのものに加えて固定電話に占めるシェアも増加していくものと考えられる。
一方、携帯電話の普及に伴う固定電話の利用減退トレンドは、公衆電話にも表れている。むしろ減退感は固定電話よりも大きい。
今後は便宜性やコストパフォーマンの上で、携帯電話やIP電話の普及率(数)がこれまで以上に増えていくことは間違いない。一方、先の震災の時に大活躍した経験からも分かる通り、「万が一」の時のために頼れるインフラとして、固定電話(加入電話)や公衆電話が無くなることはありえない。
しかし固定・公衆電話が今後も引き続き、漸減傾向を続けることもまた容易に想像がつく。時代の流れとはいえ、少々寂しさを覚えるのも否定はできまい。
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