現在16.1万台…公衆電話の設置数の現状をさぐる
先の震災時には重要性を改めて認識させられた公衆電話。しかしながらスマホの普及浸透に伴い、その台数は確実に減少している。その推移と現状を、2017年7月に総務省が発表した情報通信白書から確認する。
「公衆電話」は言葉通り「公衆」の「電話」であり、少なからずの数が電話ボックスに収められる形で随所に設置され、誰もが有料で利用できるインフラとして提供されている。また公共の場にまとまった形で配され、身近な情報交換手段として用意されている。他には緊急時に救急車や警察を呼ぶための拠点としての意味合いもある。
電気通信事業法施行規則によれば、公衆電話は社会生活上の安全及び戸外での最低限の通信手段を確保する観点により、市街地(国政調査結果による人口集中地区)では500メートル四方に1台、それ以外の地域(世帯や事業所が存在する地域)では1キロ四方に1台は設置することが求められている。
しかし「いつでもどこでも電話が使える」公衆電話の役割は、携帯電話、特にスマートフォンの普及と共にその立場を奪われる形となり、需要・利用率も漸減。利用率の低下は売上の低下につながり、採算が合わなくなる対象も増加。結果として設置台数も減らされつつある。
直近分となる2017年3月末時点における日本国内の公衆電話総数は16万1375台。去年の17万1179台からさらに約9800台・5.7%の減少である。
公衆電話台数が漸減している状況について総務省側では「高齢者の利用度が高い」「緊急時において必要となる」「ユニバーサルサービス制度によって(赤字でも)維持が義務付けられている」などの理由もあり、「減少傾向は避けられないが、最低限必要数は維持される」ことが確約されていると説明している。上の電気通信事業法施行規則もその裏付けではある。
このうち「緊急時において必要となる」に関しては、2011年の東日本大地震・震災の際に、他の通信インフラが途絶した状態の中、公的機関などに設置・開放された公衆電話を使い身内や知り合いと連絡を取り、肌身を持って実感した人も少なくない。これはNTTが設置する公衆電話は、発信規制や接続規制が行われた際にも優先して通信が行なえる「優先電話」と同様の扱いを受けているため。
今後は「インフラとして必要な公衆電話数の適切数」の検討、さらには「緊急時の保険的通信手段としての役割」が再確認された上で、公衆電話の管理維持が求められよう。
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