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「80歳で20本の自分の歯」達成者はじめて半数を超える

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 生活の質の維持のためにも歯の衛生管理は大切

国や歯科関連業界では食事を美味しく堪能でき生活の質の維持向上に役立つ指針の一つとして「8020運動」(80歳で20本の歯を維持)を掲げている。厚生労働省が2017年6月に発表した歯科疾患実態調査(※)の2016年調査分の概要によれば、その水準達成者がはじめて半数を超えた。その実情を確認する。

2016年時点で自分の歯が20本以上(※永久歯数は上下合わせて通常は28本。20本以上残っていれば、高齢者でも十分に硬いものを食せる、食生活をほぼ満喫できるとされている)残っている人は、40代前半で98.8%、40代後半で99.0%。以後歳と共にその比率は減少していき、70代後半では56.1%、80代前半では44.2%となる。

↑ 20本以上の(自分の)歯を有する者の割合推移
↑ 20本以上の(自分の)歯を有する者の割合推移

国や歯科関連業界では「80歳で20本の歯が維持できるように」との指針を示し、その達成者を「8020達成者」と呼んでいる。一方で歯科疾患実態調査ではその推移を検証する際に、単純に「70代後半」「80代前半」の値を単純に足して2で割る手法を用いており、それによると2016年では「8020達成者」は50.2%との結果が算出できる。

同じ手法で公開された過去のデータから「8020達成者」の比率を算出、その推移を示したのが次のグラフ。着実に上昇過程にあることが分かる。

↑ 「8020達成者」推定比率推移
↑ 「8020達成者」推定比率推移

上昇理由について歯科疾患実態調査には記載は無いが(報道資料には「この調査結果を踏まえ、「8020運動」を含む歯科口腔保健施策を今後も推進していきます」との記述がある)、歯科医療や歯周病対策・予防の啓蒙の浸透、意識の向上などが原因として考えられる。

歯は永久歯に生え変わった後は、再生することは無い。自分の一生を支える器官として、大切にしたいものではある。

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※歯科疾患実態調査

歯科保健状況の把握のために必要な資料を構築するため、1957年以降6年毎に実施しているもの(2017年発表分からは5年おきに変更されている)。今回概要が公開された2016年分については、2016年の国民健康・栄養調査において設定される地区(2010年の国勢調査の調査区から層化無作為抽出された世帯)からさらに抽出した地区の満1歳以上の世帯員を調査客体とし、国民健康・栄養調査の身体状況調査と共に実施(熊本地震の影響により熊本県全域を除く)。調査対象者数は男性2868人・女性3410人の計6278人。一部は質問紙調査だけでなく口腔診査受診も実施している。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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