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10歳未満の子供達のインターネット利用実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 子供のインターネット利用状況はどのような実情なのだろうか(ペイレスイメージズ/アフロ)

単なる機種利用者と、そのうちインターネット利用者と

インターネットは非常に便利なツールであり、今では多種多様な端末でアクセスすることができる。そのインターネットは子供達の間に、どこまで浸透し、利用されているのだろうか。10歳未満の低年齢の子供達の実情を、内閣府が2017年5月に発表した「低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査」(※)の結果から確認する。

調査対象母集団(の子供)においては、インターネットに接続可能なデジタル機器の利用実情は次の通りとなっている(インターネットを利用しているか否かは考慮外)。

↑ 該当機種を利用しているか(2017年1月、0~9歳、ネット利用を問わず、複数回答)
↑ 該当機種を利用しているか(2017年1月、0~9歳、ネット利用を問わず、複数回答)

そこでこれらの機種利用者において、インターネットを利用しているか否かを確認したのが次のグラフ。例えばスマートフォンでは78.4%とあるが、これはスマートフォンを利用している人のうち78.4%が、そのスマートフォンでインターネットにアクセスしていることを意味する。逆算すると21.6%はスマートフォンを利用しているが、そのスマホではインターネットを使っていない。

なお今件では詳細機種別の一部のみの動向を示している。原典には他機種の値も存在するものの、全年齢層でも機種利用者そのものが少数のため、統計的にぶれが生じてしまうことから、今回は省略している。

↑ 該当機種でインターネットを利用しているか(2017年1月、0~9歳、該当機種利用者限定)
↑ 該当機種でインターネットを利用しているか(2017年1月、0~9歳、該当機種利用者限定)

一般のスマートフォンでは8割近くがインターネットを利用している。ところが従来型携帯電話では2割足らず、子供向け従来型携帯電話では4%にも満たない。これは多分に、従来型携帯電話がインターネットへのアクセス目的ではなく、防犯用として子供が持たされている実情を反映した結果といえる。

ノートパソコンやデスクトップパソコン、タブレット型端末は8割超え、特にデスクトップパソコンはほぼ100%。これらの機種では保護者がそばにいる形で利用するスタイルが多いため、インターネットへのアクセスも許可される場合が多いからなのだろう。逆に保護者付き添いの場面に限り、これらの端末の(インターネットへのアクセスも合わせた)利用が許されているのかもしれない。

他方、子供だけで利用する場面も多いゲーム機では、インターネットへのアクセス率は1/4程度。昨今のゲームではインターネットへのアクセスができないと利用不可能な、一部機能が使えないゲームも増えているが、それらの利用は少数派に属する。

これを年齢階層別に見たのが次のグラフ。ただし年齢階層別に仕切り分けすると、各属性の回答者数が少数になるため、多分に統計上のぶれが生じてしまう。100.0%の値が出ているのは基本的に参考値として見る、グラフそのものは大よその数字の流れの掌握程度のものとしてとらえてほしい。

↑ 該当機種でインターネットを利用しているか(年齢階層別)(2017年1月、0~9歳、該当機種利用者限定)
↑ 該当機種でインターネットを利用しているか(年齢階層別)(2017年1月、0~9歳、該当機種利用者限定)

スマートフォンではぶれが生じている部分もあるが、大よそ年齢が上になるほどインターネットの利用率も高くなる。幼い時にはリスクを考慮してネットを利用させないが、歳と共に保護者の許諾が得られるようになるのだろう。パソコンではデスクトップパソコンはほぼ100%、ノートパソコンでも大よそ小学生になるあたりからインターネットへの利用が高い値を示すようになる。ノートパソコンの場合は、保護者の監視下ではない状況で利用する場合もありえるからだろうか。

機種利用者ではなく全体比で計算

上記の値は「各機種を利用している人におけるインターネットの利用割合」。全体としてどれほどの人がどの機種でインターネットを使っているかまでは分からない。そこで全体比を算出した結果が次のグラフ。例えばスマートフォンは19.4%とあるので、0歳から9歳まで全部合わせて、そのうち2割近くの人が、スマートフォンでインターネットを利用していることになる。

↑ 該当機種でインターネットを利用しているか(2017年1月、0~9歳、全体比)
↑ 該当機種でインターネットを利用しているか(2017年1月、0~9歳、全体比)

スマートフォンは約2割、従来型携帯電話は一般も子供向けのも0.3%でしかない。パソコンはノートが5.0%、デスクトップでは3.3%。小学校低学年まであわせても、パソコンでネットを利用している人は1割にも満たない実情となる。

タブレット型端末では18.3%。実のところスマートフォンとほぼ肩を並べる値が出ている。低年齢層の子供向けとしてタブレット型端末が急速に普及浸透しているとの話はよく見聞きするが、その実情が改めて確認できる。

これを年齢階層別に仕切り分けしたのが次のグラフ。各年齢層全員のうち何%が、その端末でインターネットを利用しているかを示したものである。

↑ 該当機種でインターネットを利用しているか(年齢階層別)(2017年1月、0~9歳、各年齢階層全体比)
↑ 該当機種でインターネットを利用しているか(年齢階層別)(2017年1月、0~9歳、各年齢階層全体比)

インターネットの利用状況との観点で見ると、非常に興味深い結果となっている。スマートフォンはややぶれがあるが2歳以降はほぼ同率、パソコンは小学生以降で少しずつ利用率が高まるものの少数に過ぎない、タブレット型端末は2歳時点で大きく上昇し、それ以降も増加を続け、小学生になると一段上乗せされる、ゲーム機も小学生に入ってから利用率は上がる、などなど。

それぞれの機種の利用実情が透けて見えてきそうな結果には違いない。

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子供達はタブレット型端末で何をしているのだろうか

※低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査

2017年1月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を有する保護者を対象に、同年1月12日から1月30日にかけて行われたもので、保護者による子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は2000人、有効回答数は1550人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ11人、26人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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