チョコレートが一番買われているのはどの地域か、その実情を探る

↑ 街を彩るチョコレート達。チョコ好きにもステキな期間、それがバレンタイン(Andrew Lever/SIME)

チョコレートのみ、チョコ菓子を加えても石川県が一番

ピンクや茶系統の商品群が店の棚にきらびやかさを添え、甘い香りが嗅覚に刺激を与える今日この頃。バレンタインデーに向けて次々とチョコレートに絡んだ食品が開発され、メッセージギフトとしての活躍を期待する人たちの手に取られている。あるいは手作りの一品を創る素材として、チョコレートをはじめ関連する甘味も多種多様なものが注目を集めている。それではチョコレートの類の消費性向は、日本の地域別で見るとどのような状況なのだろうか。総務省統計局が定期的に調査を実施し、その結果を公知している「家計調査」から必要な値を抽出し精査を行うことにする。

今件で確認するのはバレンタインデーで贈り物の主役となるチョコレート。ただし「家計調査」では該当する品目分類として「チョコレート」以外に「チョコレート菓子」も対象になりうる。この違いは次の通り。

●チョコレート

・原則として、チョコレート生地の重量が60%以上のもの。

 例…アーモンドチョコレート、麦チョコ

●チョコレート菓子

・原則として、チョコレート生地の重量が40%以上60%未満のもの又は準チョコレート生地が60%以上のもの。

別途精査するが実のところ、バレンタインデー向けの商品としては「チョコレート菓子」の類はさほど買われず、「チョコレート」に該当するもののみが購入対象となっているが、念のため「チョコレート菓子」も考察対象に加えていく。

精査対象世帯は総世帯(単身世帯+二人以上世帯)。現時点では2015年の値が最新。そこから「チョコレート」「チョコレート菓子」の世帯当たりの年間消費金額を全国都道府県庁所在市別に確認し、精査していく。

なお今件はあくまでも「世帯当たりの」消費金額であることに注意。その地域全体の消費量となれば、人口の大小が多分に影響を与えるので、東京がトップになるのは容易に想像ができる。要は各地域における生活単位(=世帯)で、チョコレートの消費性向にどのような違いがあるかを見ていく次第。

世帯単位での年間消費額としては「チョコレート」単独でも、「チョコレート菓子」を加えても、石川県の金沢市がトップとなった。香川県の高松市がそれに続く。

↑ 都道府県庁所在市別・総世帯におけるチョコレート消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯におけるチョコレート消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯におけるチョコレート・チョコレート菓子消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯におけるチョコレート・チョコレート菓子消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)

「チョコレート菓子」が加わると金沢市と高松市の差は僅差となるが、いずれにせよこの2地域(≒2県)が他地域と比べてチョコレートの消費額が大きいことに変わりは無い。第3位以降も大よそ同じような顔ぶれで、チョコレート好きな地域はチョコレート菓子にも惜しみない消費をしていることが分かる。

石川県金沢市がなぜチョコレートを多分に消費しているのか、その理由は正直なところ不明。石川県が日本におけるチョコレートの発祥の地であるわけでも無く、カカオ豆の栽培が盛んなわけでもない。

他方、消費動向の指標として使われることが多い家計調査で、金沢市はチョコレートの消費量のトップの常連のようで、「チョコレートの年間消費量が全国1位」をセールスポイントとして、各種チョコレートに絡んだイベントが、特にバレンタインデーに向けて展開されている。統計結果が特性を見出し、その特性が指標となり、指標を元に地域おこしの機運が形成され、それがさらに消費をかき立てる。ポジティブスパイラルの好例ではある。

ひとり頭の金額を単純試算すると

「家計調査」では「チョコレート」「チョコレート菓子」に関して、購入数量や平均価格の調査は行われていない。よって「チョコレートの消費重量」の精査は不可能。

そこで見方を変え、「世帯単位の消費金額」では無く「世帯構成員一人当たりの消費額」を算出する。これは各地域の平均世帯構成人数を用いることで容易に算出できる。無論世帯構成員には老若男女すべてが含まれるため、単純に割り算をしたのでは世帯構成によるぶれが生じる可能性もあるが、今件はあくまでも指標を求めるのが目的のため、目をつぶる。

↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における一人当たりのチョコレート・チョコレート菓子消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における一人当たりのチョコレート・チョコレート菓子消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)

世帯単位の消費額に大きな差異が無いことから、平均世帯構成人数の差異が大きく影響する形となり、世帯単位ではトップだった石川県金沢市は第9位にまで後退。山口県山口市がトップに、埼玉県さいたま市が第2位につくこととなった。

山口県山口市だけでなく、北海道札幌市や三重県津市なども世帯単位で上位陣に列挙されていることを考えると、順位動向はともあれ全体としては世帯単位の消費額と大きな差異はないようだ。他方、山口や埼玉が一人あたりのチョコレート消費量の上位についている理由も不明であることに変わりは無い。

地図化すれば何らかの傾向が…?

最後は今件調査結果の地図化。「世帯単位の年間チョコレートとチョコレート菓子の支出金額」「一人当たりの年間チョコレートとチョコレート菓子の支出金額」それぞれについて、各地域で全国平均と比べて1割台・2割以上の大小が生じている地域を色分けしたのが次の図。今図版の作成には「白地図ぬりぬり ver.δ」を利用している。

↑ 世帯あたりの年間チョコレート・チョコレート菓子消費金額(家計調査・2015年分・総世帯)
↑ 世帯あたりの年間チョコレート・チョコレート菓子消費金額(家計調査・2015年分・総世帯)
↑ 一人あたりの年間チョコレート・チョコレート菓子消費金額(家計調査・2015年分・総世帯)
↑ 一人あたりの年間チョコレート・チョコレート菓子消費金額(家計調査・2015年分・総世帯)

地域単位の食文化がかいま見れる結果が出るのを期待したが、実のところそのような結果にはならなかった。チョコレートは熱に弱いとの印象があるため、暑いところでは消費が少なく、寒い地域ほど消費量が増えるとの推測もあったが、例えば北海道では確かに消費量が多いものの、青森や秋田では逆に少なめの値が計上されている。北九州では概して少ないが、隣接する山口では消費額は極めて大きい。都道府県単位の傾向ならともかく、地域レベルでのチョコレートの消費に関わる傾向の類は、少なくとも地図を見た限りでは存在しないようだ。

チョコレートに関わる大きなムーブメントが生じない限り、今回の動向は今後も変化は無いだろう。見方を変えれば、家計調査の動向を逐次精査することで、地域のチョコレート事情の動きを見出すことができるかもしれない。

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