高齢者は長期利用…立場で異なる賃貸住宅の居住年数

↑ 賃貸での一人暮らし。平均居住年数は

学生や外国人は短期間、家族世帯や高齢者は長期間

住まいを借り受け利用する賃貸住宅では、建売住宅と異なり一定期間後に他の賃貸や購入した住宅に引っ越す事例が多い。利用者の立ち位置で居住年数にはどのような違いが見られるだろうか。賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」が発表した賃貸住宅景況感調査日管協短観の最新版(2015年度下期(2015年10月から2016年3月))から確認していく。

賃貸住宅の利用客層を「学生」「一般単身者(学生除く)」「一般ファミリー」「高齢者(65歳以上)」「法人」「外国人」に分類し、その上で個々の平均居住年数を確認したのが次のグラフ。「一般ファミリー」と「高齢者」では特に、長年居住者が多い(緑系統の面積が広い)のが分かる。個々世帯のライフスタイルを想起すれば(家族世帯は子供の就学問題、高齢者は周辺地域との接点の維持や引越しの手間のハードルの高さ)、引越しの必要性は低い、同じ住居に継続して住み続ける希望を強く持つのは必然的な話。

↑ 平均居住年数(全国)(2015年度下期)
↑ 平均居住年数(全国)(2015年度下期)

「学生」は2~4年が大半で、4年以上はほとんどいない。「学生」の賃貸住宅利用者の大半が大学生であること、そして通常の大学が4年制なのを考えれば、道理は通る。4~6年で7.0%ほどの値が確認できるのは、浪人生時代からの居住者、あるいは留年者と考えられる。または就職してもしばらくは学生時代の住居に居残っているケースもあり得よう。

また「外国人」は4年までの短期滞在が大部分で、スタイル的には学生に近い。さらに「1~2年」が3割おり、「学生」よりも短期性が強い。そして「高齢者」は他の区分とは比較にならないほど、6年以上の長期居住型が多数を占めている。これは「一般ファミリー」以上に引越しの必要性が薄いことに加え、シニア層は近所づきあいも含めた周辺環境そのものとの結びつきが強く、単なる居住空間以上の意味合いが、その居住場所にあるからに他ならない。また引越しの物理的、あるいは経済的負担に耐えがたいのも要因だろう。

地域別の動向

これを首都圏・関西圏て分けると、地域別の特徴が出てくる。

↑ 平均居住年数(首都圏)(2015年度下期)
↑ 平均居住年数(首都圏)(2015年度下期)
↑ 平均居住年数(関西圏)(2015年度下期)
↑ 平均居住年数(関西圏)(2015年度下期)

首都圏は全国平均と大きな違いは無い。一方で関西圏は「高齢者」の長期居住者が首都圏以上に多い。6年以上の人が3/4なのに加え、4~6年が2割を超えており、4年以上でほぼすべてとなってしまっている。地域社会と密着した人が多く、引越しする機会が少ないことの表れだろう。高齢者のみに限定して地域別の動向を並列しても、関西圏の長期居住者の多さが分かる。

↑ 平均居住年数(高齢者限定)(2015年度下期)
↑ 平均居住年数(高齢者限定)(2015年度下期)

関西圏では特に顕著な傾向を示しているが、都市圏の高齢者による長期入居者率は今後も上昇を続けていくことは容易に想像ができる。その動きに伴い、高齢者の独り身世帯も増加する。管理会社側としては、管理そのものの困難さに加え、該当賃貸住宅の建て替えの際の立ち退き問題など、各種負担は今まで以上に大きなものとなるに違いない。

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