高卒16万円前後、大卒約20万円…初任給の現状と推移

↑ 初任給は誰にとっても嬉しいものだが…(イラスト:いらすとや)

学歴別、性別の初任給

初めて手にする給与、初任給。多くの人には一生忘れえない経験となるが、同時に経済的側面では景気動向や労働市場、給与相場、物価などを加味した一つの指針でもある。その現状と推移を、厚生労働省の賃金関連の情報を調査集積した結果「賃金構造基本統計調査」から確認していく。

今回検証する初任給とは、新規学卒者(各種類学校を卒業してそのまま就職した人。就職浪人をした人を除く)がその企業で初めて取得した「賃金(所定内給与額)」から通勤手当を除いた額。また「所定内給与額」とは「基本給に家族手当などを足したもの」、つまり通常はほぼ固定して受け取れる額を意味する。

まずは直近分となる2015年における、学歴・性別の初任給状況。

↑ 新規学卒者の初任給(万円、最終学歴別)(2015年)
↑ 新規学卒者の初任給(万円、最終学歴別)(2015年)

女性よりも男性、低学歴よりも高学歴の方が給与は高いことから、初任給も当然高い結果が出ている。就業先の違いなどが大きく影響してくるのだが、初任給の時点ですでに最大で4割前後の差が生じている。もっともこの初任給は当然就業できた人における平均値で、就職率とはまた別の話。

続いてこれを経年変化で確認していく。賃金構造基本統計調査では現在時系列で1976年以降の初任給が確認できる。ただし大学院・修士課程修了に関しては2005年以降のものとなる。これらの値を男女別にまとめ、グラフとして生成したのが次の図。

↑ 新規学卒者の初任給推移(万円、最終学歴別)(男性)
↑ 新規学卒者の初任給推移(万円、最終学歴別)(男性)
 ↑ 新規学卒者の初任給推移(万円、最終学歴別)(女性)
↑ 新規学卒者の初任給推移(万円、最終学歴別)(女性)

男女とも学歴が上になるほど初任給も高く、そして各学歴間の額面上の差異にはあまり変化が生じていないことが分かる。それでも1990年代前半、バブル崩壊前後までは全体の額が大きく上昇するのに合わせ、差異も開いていった。しかし1990年代後半以降は上昇度合いが非常に緩やかなものとなり、差もほとんど一定の額を維持するようになる。

また、これらのグラフの動きは消費者物価指数の動きと良く似ている。要は初任給は多分に当時の物価に左右されると考えれば道理は通る。

物価の動向を加味した初任給を見ると

そこで物価動向を加味した上で、初任給動向を再精査してみることにする。直近の2015年における消費者物価指数をベースとし、過去の各額面を修正していく、いわゆるウェイトバックをかけていく。要は各過去の年において、2015年当時の物価水準ならばどれほどの額だったかを計算した結果である。

↑ 新規学卒者の初任給推移(万円、最終学歴別)(男性)(消費者物価指数考慮)
↑ 新規学卒者の初任給推移(万円、最終学歴別)(男性)(消費者物価指数考慮)
↑ 新規学卒者の初任給推移(万円、最終学歴別)(男性)(消費者物価指数考慮)
↑ 新規学卒者の初任給推移(万円、最終学歴別)(男性)(消費者物価指数考慮)

物価が上昇したバブル崩壊前後までにおける上昇度合いは緩やかなものとなり、むしろ1980年代前半は一時的に実質初任給が減少した時期もあるほど。その後はほんのわずかずつではあるが上昇を示している。ただし直近数年は物価上昇に額の上昇が追い付いていないこともあり、横ばいの動きに転じている。大学院などはむしろ実額が減退している。

よい機会でもあるので取得可能なもっとも古い値、大学院などは2005年、それ以外は1976年における初任給と、直近の2015年のそれとを消費者物価指数を考慮した上の額で比較する。

↑ 新規学卒者の初任給(万円、最終学歴別)(1976年(大学院-は2005年)と2015年)(消費者物価指数考慮)
↑ 新規学卒者の初任給(万円、最終学歴別)(1976年(大学院-は2005年)と2015年)(消費者物価指数考慮)

大学院などは比較対象となる年が10年程度しか離れていないのでほとんど差が生じていないが、それ以外は3割前後の底上げが生じている。可処分所得となるとまた別の話となるが、少なくとも初任給の上ではそれだけ得られる額が増えていることに違いは無い。

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