失業率を学歴・年代別に比較してみる
最新の学歴・世代別完全失業率
世間一般には高学歴ほど就職は容易で、また失業もしにくいとのイメージがある。その実情を総務省の労働力調査から確認していく。
まず「完全失業率」の定義の確認。これは「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出する。総務省統計局では「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」のすべてに当てはまる人を「完全失業者」として認定している。
次に示すのは直近となる2015年分における、学歴と年齢階級別の失業率の状況。立体グラフに加え、通常スタイルのグラフも併記している。
完全失業率に関する全体的な構造「高学歴ほど低失業率」「若年層ほど高失業率」が確認できる。ただし高齢層、特に65歳以上の失業率では学歴の差がほとんど出てない、むしろ高学歴の方が失業率が高い。これは多分に「定年退職・早期退職後の再就職をこれまでの職場、新規職場を問わずに果たし、その際には学歴はさほど影響しない」からに他ならない。実際、この世代における就業者の多くは非正規雇用となっている。
さらには「元々高学歴≒高年収であり、定年退職以外で失業・早期退職して再就職を望む場合、できる限り以前に近い待遇を望む傾向が強く、条件がかなう職に就きがたい状況が生じている」こともあり、高学歴がかえって仇となる(当人が自ら足かせをしている)ことの表れとも考えられる。再就職のハードルをあえて自ら上げたが、そのハードルを飛び越えられない状態と表現できよう。
大卒・大学院卒の15~24歳における、つまり大学卒業後間もない新社会人の失業率は4.3%。たとえ高学歴であったとしても、若年層の就職難の状況にさほど違いは無いようだ。
失業率は明らかに改善へ
昨年発表された2014年分の値を元に算出した失業率と、今回算出した2015年分の算出値の差異を計算した結果が次のグラフ。2014年から2015年の1年間における失業率の変化を表す。数がプラスに大きく振れるほど失業率が増加、つまり雇用状況が悪化していることになる。
やや振れ幅にはばらつきがあるが、マイナス値が多い、つまり雇用の改善が見られる。とりわけ若年層における高学歴の改善ぶり、中堅層の短大・高専の改善が目立つ。一方、高齢層で高学歴の層での失業率の悪化が見られ、懸案事項として留意すべき動きではある。ただしこれは大幅に該当労働人口が増加していることから、労働市場のバランスのゆがみによるところが多分に考えられる。上記で触れている通り、再就職の際にも望みが高く、雇用側も雇い入れが難しいケースも多分に考えられよう。
なお今件各値では「完全失業者」の定義に従い、(就職をあきらめて)大学院入りした人、就職を一時留保し就職活動をしていない人などは考慮されていないことに留意する必要がある。
今回分となる2015年におけるポイントは「全体的な雇用状況の改善」「一部高齢層における状況悪化の懸念」の2点にまとめられる。高齢層の雇用状況の改善は多分に非正規社員としての再雇用であるが、それでもなお求職の需要をカバーしきれない状況に違いない。
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