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ノートなら5割強…パソコンの普及率の現状を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ パソコンの普及浸透でSOHO化が大いに進んだことには違いないが…

ノートパソコンは世帯ベースで5割強の普及率

昨今では若年層のパソコン・キーボード離れの話など、別の切り口で話題に登ることも多いパソコン。今なお業務用端末、インターネットの窓口として重要な存在に違いない。そのパソコンの世帯ベースでの普及率の現状を、総務省統計局が2015年7月に発表した、全国消費実態調査の公表値から探る。

次に示すのは総世帯(調査対象母集団のすべての世帯)における世帯ベースでのパソコン普及率。デスクトップ型とノートなど(ノートパソコン以外にモバイルパソコン、ネットブックを含み、タブレット型端末は含まない)それぞれの普及率と、所有世帯における平均所有台数。なお今件における所有とは、常用している状態を意味し、押し入れの中でほこりをかぶっていたり故障している端末は該当しない。

↑ パソコン普及率(総世帯、2014年)
↑ パソコン普及率(総世帯、2014年)

他の調査でもデスクトップパソコンの普及率がノートパソコンなどに追い抜かれた状況が示されているが、今調査でもそれが裏付けられた。デスクトップが34.0%でしかないのに対し、ノートなどは55.2%に達している。所有世帯内における平均保有台数もデスクトップが1.20台に対し、ノートが1.34台と、ノートパソコンの方が多い。

これを単身世帯・二人以上世帯別に仕切り分けしたのが次のグラフ。

↑ パソコン普及率(世帯種類別、2014年)
↑ パソコン普及率(世帯種類別、2014年)

単身世帯では二人以上世帯の普及率の大よそ半分程度。必要性の低さと費用的負担が重しとなっているのだろう。単身世帯でデスクトップパソコンを持つ人は1/4にも届かない。他方、二人以上世帯ではノートパソコンの普及率が6割を超えており、また所有台数も1.40台とやや多め。必要性の高さや金銭面の問題に加え、二人以上世帯の方が世帯主の年齢が高くなる傾向があるのも一因と考えられる。

持ってるパソコン、いつ買った?

昨今ではインターネットへのアクセス端末として、タブレット型端末やスマートフォンなどが注目を集めており、相対的にパソコンの必要性は昔と比べれば低下している。そこで、1000世帯あたり(パソコン所有世帯・非所有世帯を問わず)の所有パソコン台数において、そのパソコンが取得してから何年経っているのかを確認したのが次のグラフ。例えば単身世帯でデスクトップ・過去1年間は34とあるので、単身世帯では1000世帯の中で、過去1年未満に購入されたデスクトップパソコンは34台となる。

↑ パソコン所有数(1000世帯当たり、2014年、単身世帯、取得時期別)
↑ パソコン所有数(1000世帯当たり、2014年、単身世帯、取得時期別)
↑ パソコン所有数(1000世帯当たり、2014年、二人以上世帯、取得時期別)
↑ パソコン所有数(1000世帯当たり、2014年、二人以上世帯、取得時期別)

かつてはOSの大きな世代交代ごとにパソコン本体を買い代える事例も少なくなかったが、最近ではOSのサポート期間も相次ぎ延長され、修理などのサポートも充実。また自前でパーツの増設などを行い状況の改善に努める事例もあり、長期にわたりパソコンを利用し続ける事例も増えている。とはいえ、少なからずの台数が、取得してから5年以上経過した今もなお稼働している状況にあるのは、驚きの結果かもしれない。

また、単純計算をすると、過去1年未満の数を4倍すれば、過去1~5年以内の台数と匹敵するはずなのだが、単身世帯ではほぼその数式が当てはまるのの、二人以上世帯のデスクトップではやや数字がずれ、過去1年未満の台数が少なめとなっている。夫婦世帯においてデスクトップパソコンの購入傾向が落ちている可能性は否定できまい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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