世界の国別原油埋蔵量、トップはサウジでは無く……

↑ 存在地点が偏在しているのが原油の特徴。最大の存在量を誇るのは!?

現代社会を担うエネルギー源の一つである原油(石油)。その存在は地域によって大きな偏りを示している。現時点でもっとも多くの原油が存在するとされる国はどこなのだろうか。国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー白書「Statistical Review of World Energy」の最新版による公開データを元に、確認していくことにする。

まずは用語の確認。「1バレル」とは石油・原油の量を測る単位。樽(たる)が語源で42ガロン、158.987294928リットル。そして「確認埋蔵量」とは、現在の技術で経済的に採掘できる量。科学技術が進歩して、より深いところまで採算が取れる範囲で採取できるようになれば、これまで以上に「確認埋蔵量」が増える。原油の存在が確認できても、採算の取れない場所でのものなら、その分はカウントされない。

また「石油」は採掘直後の「油」を指す場合もあるし、採掘した油からガスや水分、その他異物を大まかに取り除いた、精製前のものを指す場合もある(こちらはむしろ「原油(Crude oil)」と呼ぶ場合が多い)。今回対象となるのは基本的に後者の「原油(Crude oil)」。

次に示すのは直近2014年と、ちょうど10年前、2004年における原油確認埋蔵量の動向。BP社の資料には相当数の国のデータが記述されているが、2014年における上位国に絞って掲載を行う。

↑ 原油確認埋蔵量(億バレル)(2004年、2014年)
↑ 原油確認埋蔵量(億バレル)(2004年、2014年)

南アメリカ北部にある国、ベネズエラの量の多さが目に留まる。この10年間で4倍近くに増え、サウジアラビアを追い抜く形となった。これは同国の開発技術が進み、採掘が可能とされる原油の量が飛躍的に増加したことを起因としている。一方で同国の原油確認埋蔵量には多くの「重質油」「超重質油」が加算されているが、これらを抽出するには技術的困難を伴うだけでなく、費用もかかることが指摘されている。

他方、ベネズエラほどではないが、イランやイラクなどでも原油確認埋蔵量の大幅な増加が認められる。これらの国の国際発言力や自信の高まり(特にイラン)も、理解できる。

続いて、原油確認埋蔵量の世界全体値に対するシェア。例えば2014年のベネズエラは17.5%なので、世界中の抽出可能な原油全体量のうち、17.5%がベネズエラに存在する計算となる。

↑ 原油確認埋蔵量(世界全体値に対するシェア比)(2004年、2014年)
↑ 原油確認埋蔵量(世界全体値に対するシェア比)(2004年、2014年)

先に挙げたベネズエラ、さらには値そのものは小さいがカザフスタンがこの10年間で大きくシェアを拡大している。一方で世界全体の採掘量の増加を受けて、サウジアラビアやカナダ、クウェート、UAE、ロシアなどは軒並みシェアを落としている。

実際には原油の品質、輸送設備、安定性、そして抽出量(生産量)なども大きな影響を与えるので、単に原油確認埋蔵量の変化だけで石油市場動向が変動を起こすわけではない。しかしパワーバランスの変化が生じていることには違いない。大きな変化が見られた国における、外交的な動向を思い返してみると、色々と合致する部分もあるのが興味深い。

昨今では原油はいくぶんの供給過多状態にあり、価格も安定やや安値の状況にある。しかし少なからぬ産油国は、政治的に不安定なところがあり、状況が急変するリスクは否定できない。直近では中東周りでの動向が良い例である。各国の情勢と合わせ、原油価格や採掘・埋蔵動向にも注目したい。

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