男性は正規率77.8%、女性は43.0%

就業状況に係わる論議のテーマとして挙げられることの多い、非正規労働者問題。その数字の内情を厚生労働省の調査結果「国民生活基礎調査の概況」から確認していく。

今回確認するのは、役員以外の働き人(雇用者。雇われている人。自営業者や家族従業者、内職者などは含まれない)における、正規社員・職員と非正規社員・職員の比率。両者の定義としては「正規社員…正社員。一般社員」「非正規社員…パート・アルバイト、労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託など」となる。

それでは最新値となる2014年分における「雇用者の正規・非正規比率」を見ていくことにする。

↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員、自営業者、家族従業者など含まず)(2014年)(男性)
↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員、自営業者、家族従業者など含まず)(2014年)(男性)
↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員、自営業者、家族従業者など含まず)(2014年)(女性)
↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員、自営業者、家族従業者など含まず)(2014年)(女性)

男性は10代では正社員率が5割台。20代前半になると7割近くとなるが、まだ非正規社員率は相当高い。高校生や大学生によるパートやアルバイトも含まれるため。20代後半以降は8~9割と高い値を占め、60代を過ぎてようやく定年退職により正規社員率が下がり、非正規社員率が上昇する。とはいえ65歳以上でも3割近くは正社員の立場を確保している。

今調査では詳しい比率は確認できないが、高齢者の非正規雇用の多分は、一度定年退職や早期退職制度を適用した上で、同じ、あるいは関連企業に嘱託などの立場で再雇用されている事例があるものと考えられる。高齢者を対象にした厚生労働省の「中高年者縦断調査」でも、それを裏付ける結果が出ている。

↑ 第9回調査まで再雇用制度利用有の者の第9回時点での仕事の形(60~67歳対象、第8回時点で自営業者以外の就労者対象)(「中高年者縦断調査」から)
↑ 第9回調査まで再雇用制度利用有の者の第9回時点での仕事の形(60~67歳対象、第8回時点で自営業者以外の就労者対象)(「中高年者縦断調査」から)

一方女性は若年層でも正社員率は男性より低く、20代後半をピークとする。これは「寿退社」なとによる退社で若年女性正社員が辞めていくことに加え、世帯を持った主婦が子育てのさなかにパートなどの非正規労働に就くことで、非正規の値が底上げされるのが要因。時折今件数字だけを呈して「女性の非正規雇用率が高いのは差別的雇用の結果に他ならない」とする論説を見かけるが、男女それぞれの就労事情の認識が欠けているだけの話でしかない。

前年比算出で動向を確認

今回分と前回2013年分それぞれにおける、正規雇用者率を比較して、その差異を算出したのが次のグラフ。

↑ 15歳以上の就業者(役員、自営業者、家族従業者など含まず)における正規構成比率変移(2013-2014年、男女別)
↑ 15歳以上の就業者(役員、自営業者、家族従業者など含まず)における正規構成比率変移(2013-2014年、男女別)

男性では10代後半を中心に若年層で値が増加し、中堅層以降は下落、特に60代以上の減少ぶりが著しい。新規雇用で積極的な正規社員雇用が行われていることがうかがい知れる。高齢層の大幅減少は上記説明の通り、退職者の再雇用で非正規者数が増え、相対的な比率で減った影響が大きい。

また女性は全般的に正規雇用比率が増加している。60代以上の減少理由は男性と同じだが、それより下の層における増加は、雇用状況が改善の動きを示している、正規雇用の求人が増加したことの表れと考えられる。

世間一般には今記事題名の通り「男性22%・女性57%は非正規社員」との部分だけ注目され、労働市場の問題として提起されることが多い。しかし実態としては女性のパート・アルバイトが多分に値を動かしている実態を忘れてはならない。

さらにいえばこの非正規社員比率の換算には、役員や自営業者が抜けている。仮にこれらの人たちも計算に含めれば、就業者全体に占める非正規社員比率はさらに落ちることになる。この点について、十分以上に留意する必要があるのだろう。

■関連記事:

パートやアルバイトは増加継続…非正規社員の現状をグラフ化してみる

正社員と非正社員の賃金差は?…雇用形態別の平均賃金をグラフ化してみる