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2大写真系ソーシャルメディアPinterestとInstagramのアメリカでの利用現状を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 写真等を取り扱うPinterestとInstagramの米での利用状況は!?

Pinterestは女性に大人気

画像や映像を自在に操れるスマートフォンの普及に伴い、マルチメディアタイプのソーシャルメディアも多数登場し、大いに活用され始めている。その代表的存在PinterestとInstagramのアメリカ合衆国での利用現状を、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年1月に発表した報告書「Social Media Update 2014」から確認していく。

日本ではFacebookやTwitterと比べて知名度が低めのPinterestやInstagram。その機能内容はざっと説明すると「Pinterest…他人にも閲覧してもらえる動画や写真のウェブ・スクラップブック」「Instagram…他のソーシャルメディアとの連動性が高い、動画や写真の共有アプリ」となる。いずれもスマートフォンが普及浸透したからこそ、世に生まれ出で、浸透しつつあるサービス。

その2サービスのうちPinterestに関して、アメリカの成人における利用状況を確認した結果は次の通り。全体ではインターネット利用者(同国成人から成る調査対象母集団全体の79.7%)のうち28%が利用している。

↑ Pinterest利用状況(米、インターネット利用者限定)
↑ Pinterest利用状況(米、インターネット利用者限定)

Pinterestが他サービス、例えばFacebookやTwitterと比べて大きく異なる特徴の一つが、男女による利用状況の違い。他は男女差が精々数%ポイントだが、Pinterestは3倍強もの差をつけて女性が多用している。女性に限ればインターネット利用者の5人に2人以上が使っている計算。デザイン性や操作のし易さ、きれいなものの収集という感覚のサービスであることが大いに受け入れられたと考えられる。

世代別では若年層、学歴別では高学歴、年収別では高年収の方が利用率が高い。これは他サービスと変わる所が無い。興味深いのは居住地別で、地方ほど利用率が高い結果が出ている。

前年からの変移を見ると、すべての属性で増加。伸び悩みそうな高齢者層でも大きく上昇し、1年間でほぼ倍増との値を示している。インターネット利用者そのものは漸増していることを考慮すると、実人数の伸びは2倍を超えることになる。操作のし易さが好まれたのだろう。この勢いなら次年分となる2015年の計測値でも、大きな伸びが期待できそう。

Instagramは若者に大人気

Pinterestは既存のコンテンツの整理手帳なのに対し、Instagramはコンテンツそのものを創り他人と共有するためのコミュニケーションツールと例えられる。創作意欲をかきたてる、気軽に自作を他人にアピールできる点は、特に若年層に受け入れられている。

↑ Instagram利用状況(米、インターネット利用者限定)
↑ Instagram利用状況(米、インターネット利用者限定)

男女別では女性の方が利用率が高いが、その差はPinterestほどではない。一方、世代別では大きな差が生じている。2014年ではシニア層も6%にまで値を引き上げたが、それでも18~29歳の53%(過半数!)と比べればほぼ1/9でしかない。創作は室内でも可能だが、写真の見栄え、可能性を考えると積極的に屋外に出ている人の方が、Instagramの価値を見出しやすく、活用もし易い。行動的な若年層が大いに利用しているのもうなづける。6秒までの再生が可能な短時間動画投稿サービスのVineが、若年層に圧倒的な支持を受けているのと同じ理由といえる。

面白い動きを示しているのは世代別だけに限らない。学歴別、年収別では属性別の差がさほど見られない。写真や動画を気軽に撮って広める行為は、学歴や年収の幅を超えて楽しめるということなのだろう。

経年変化を見ると、Pinterest同様にどの属性でも大きな上昇が確認できる。特に2013年の時点でほとんど使われていなかった属性、シニア層や地方居住者の利用率上昇が著しい。サービスが確実に末広がり的に浸透し始めたあかしともいえる。

アメリカにおいてはPinterestは女性、Instagramは若年層において突出した支持を集めていることが分かった。日本ではどのような状況なのだろうか。精査に値する調査報告書があれば、精査していきたいところではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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