「今日は良い日だった?」から見る各国の楽観・悲観主義
日々の生活を良いものであるか否かとの認識は、現実の環境だけでなく各国の国民の楽観主義・悲観主義的なモノの考え方・受け取り方が多分に作用する。同じ体験でも楽観主義者は良い日と思い、悲観主義者は悪い日と受け取ってしまうことも多分にある。個々の国の楽観・悲観主義的動きが垣間見れる次第である。今回はアメリカの民間調査機関Pew Research Centerが2014年12月に発表した調査結果「Who’s having a ‘good’ or ‘bad’ day around the world」を基に、主要国の楽観主義・悲観主義的な様相を見ていくことにする。
設問は回答日当日において、回答者自身の主観で「良い日だった」「悪い日だった」「普通の日だった」のいずれか一つを選んでもらっている。どの選択肢を選ぶかは回答者の心境次第で、選んだ理由は尋ねていない。結果としてその国々の人々の日常生活における、普段の生活に対する思惑が浮き出るものとなっている。つまり楽観的に日々を過ごしているのか、それとも悲観的かを確認できる次第である。国の並びは「良い日」の回答率の高い順にしてある。
一番「良い日」が多いのはナイジェリア、次いでコロンビア、ニカラグア、ケニアと続く。ブラジルまでが5割超で、以下バングラデシュ、ベネズエラが続く。いわゆる先進国ではアメリカ合衆国がもっとも値が高く、以下イギリスとなるが、かなり下の方まで行かないと先進諸国の名前は見かける事が出来ない。
ちなみに日本は一番下。「良い日」回答は8%のみ。ただし「普通の日」の回答率は諸国で一番多く89%。日本は中庸の意見が他国よりも非常に多く出ることがしばしばあり、今回もその例に違わぬ結果となった。
国の並びと「良い日」回答の関係を見て、首を傾げる人もいるかもしれない。大よそ経済的に発展していそうな国ほど、回答率が低い傾向が見受けられる。これは報告書でも指摘されていることだが、経済の発展が必ずしも個々の国民の幸福感、楽観的な発想には結びつかない現れといえる。
IMF(国際通貨基金)のデータベースの「World Economic Outlook Database」の公開値を基に、調査年である2014年の各国名目GDP(国民一人当たり、米ドル換算)を用い、GDPと「良い日」の回答率をグラフにしたのが次の図。むしろGDPと「良い日」の回答率は逆行する関係にある(相関関係であり因果関係ではないことに注意)ことが分かる。
唯一例外なのはアメリカ合衆国。これもまた報告書に特記事項として言及されているが、「異常値(a major outlier)」として表現されているほどの状態にある。同国に住む人たちは得てして「馬力のある楽観主義者」と評されることがあるが、それを裏付ける一つの具体例として今件調査結果は注目に値するものといえよう。
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