総世帯の半分以上が「月に一冊も雑誌や週刊誌を買っていない」現実

↑ ラインアップは充実しているように見える週刊誌や雑誌だが……

新聞8割強、雑誌や週刊誌は5割足らず

雑誌や書籍、新聞などの紙媒体離れをよく見聞きする。現実問題として、現在どの程度雑誌などが買われ、昨今においてその額が減少しているのだろうか。総務省統計局が定期的に調査発表している家計調査報告の年次データを基に、雑誌などの媒体販売数そのものでは無く、各世帯単位の視点から、その購入実情を探ることにする。

次に示すのは最新データにあたる2013年分の、新聞や雑誌・週刊誌などの紙媒体における「世帯単位での」支出額や購入頻度を月次換算したもの。「世帯購入頻度」は世帯単位での購入頻度。例えば世帯構成員の誰かが特定期間に2回雑誌を購入すれば、その世帯の該当期間における購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。

↑ 2013年における総世帯の平均支出金額・購入世帯頻度(総務省統計局発表)(月次換算)
↑ 2013年における総世帯の平均支出金額・購入世帯頻度(総務省統計局発表)(月次換算)
↑ 2013年における総世帯の”一人当たり”平均支出金額(総務省統計局発表)(月次換算)
↑ 2013年における総世帯の”一人当たり”平均支出金額(総務省統計局発表)(月次換算)

新聞は全世帯の84%が購入している。もっとも、1世帯で複数契約の事例もあるので、実際の世帯購読率はもう少し低い値に留まるだろう。また雑誌や週刊誌、書籍は4割~5割近くに留まっている。つまり仮に購入1世帯につき「1人が1誌のみ」の割合で雑誌を購入していたとしても、全世帯のうち6割近くは「一か月で1誌も雑誌を買わなかった」という計算になる。実際には週刊誌などのように定期的に買う事例が多数想定できるため、世帯単位での購入実態はさらに低いことになる。

前年分となる2012年次の数字と比べると、「他の印刷物」以外の購入世帯頻度が落ち、雑誌の支出額が持ち直しているが、その分書籍の支出金額の下落が大きい(一人当たりでは約20円/月の減少)。2012年ではその前年に発生した震災の影響で大きくマイナスを生じざるを得なかった2011年と比較してなお減少しており、「紙媒体離れ」を再認識させたものだが、その減退傾向は2013年でも継続中ということになる。

じわりと確実に下がる購入頻度、支出額

この「購入世帯頻度」「支出額」の推移を、統計局側で確認できる2002年以降のものにつき、時系列で再整理してグラフ化したのが次の図。

↑ 総世帯の平均購入頻度(総務省統計局発表)(月次)
↑ 総世帯の平均購入頻度(総務省統計局発表)(月次)
↑ 総世帯の平均支出金額(総務省統計局発表)(月次、円)
↑ 総世帯の平均支出金額(総務省統計局発表)(月次、円)

新聞は2002年の時点で100%を超えていた。自宅に投函されるタイプの新聞は「1か月分の契約」で1購入と計算するので、すべての世帯が定期購読しているのに加え、スタンドや駅売店で購入して家計に計上した人も相当数居たことになる。複数紙の契約者数が多数いたのも一因だろう。それが2013年には84.2%。ほぼ20%ポイントの下落。

「書籍」はゆるやなカーブだが、減っていることに違いは無い。他方「雑誌・週刊誌」は減退幅が大きいのが分かる。今や総世帯の半分以上が、「月に一冊も雑誌や週刊誌を買っていない」。当然平均購入金額も漸減状態。

今グラフを見返すと、いわゆる「メディアのターニングポイント」とされる2005年前後(携帯電話、インターネットの世間一般への普及が始まった時期)より前、少なくとも2002年時点から、主要紙媒体の購入性向の減退が起きているのが分かる。

また直近となる2013年分も含めたここ数年では、購入頻度の視点で「雑誌・週刊誌」と「書籍」とが競り合い、確実な差が開いた2012年の動きがさらに拡大している。「書籍」よりも「雑誌・週刊誌」を買う人が少なくなったのは2008年、そして2011年、差が開いた2012年に続いて4回目。タイミング的には震災がきっかけで、現状の低迷感に拍車がかかった形。

「雑誌・週刊誌」の急速な低迷ぶりは、「すき間時間向けの媒体」「読み捨て感が強い」との観点でライバルとなる、モバイル端末の浸透普及が加速度的に進んでいるのが主要因と考えられる。書籍は何度となく読み返し、読み終えた後も手元に残しておく場合が多い。しかし雑誌は一度や二度の読み返しで終わり、書籍のように長期間保存する事例は少ない。良くて新聞と共に山積みされ、溜まった時点でちり紙交換行きとなる位。いわゆる「読みっぱなし」の時間消費との観点ではより注力度の高い、そして総じて低コストなモバイル端末におかぶを奪われた形。

雑誌や週刊誌側も付録紙の展開やミニサイズ化、スマートフォンとの連動企画など、工夫を凝らして購入層の引き留めと拡大を模索している。しかしそれらの効果よりもはるかに速いスピードで、デジタル媒体への傾注、シフトは進んでいる。各紙媒体、特に雑誌・週刊誌の低迷は、今後もしばらくは継続するに違いない。

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