消費税引上げ前の駆け込み購入、トップは定番のあの日用品
この4月から消費税率が現行の5%に3%上乗せされ、8%となる。それに伴い商品やサービスの購入時に支払う対価もそれだけ引き上げられることになる。単純計算だが、実売価格は2.86%の値上げ。
これに伴い、4月の引上げ前に駆け込み的に商品をまとめ買いしておく人も少なくない。そこで主要商品、サービスに関して「消費税率引き上げ前に駆け込み的に購入する予定があるもの」を聞いた結果が次のグラフ(住信SBIネット銀行が2014年1月末に公開した調査結果「値上げに関するアンケート」を基に生成)。
具体的品目で最上位は「トイレットペーパー」。ほぼ5人に1人はトイレットペーパーを4月までにまとめ買いすると答えている。入手が容易、使用頻度が高く備蓄もそれなりに可能、そしてイメージ的に「まとめ買い」「駆け込み需要の代表格」的な点が、回答率の高い理由。いわゆる「石油危機」の記憶を持つ人も多いだろうし、先の震災時の状況を思い返している人も少なくあるまい。似たような理由で「ティッシュペーパー」も19.2%と高めの値。
日用品やトイレタリーは保存性が高く常用性もあることから、まとめ買いの対象となる場合が多い。他方食品・飲料は日用品に比べて値は低いものの、それでも買い置きが出来るタイプは駆け込み購入の対象とされている。特に「酒類」や「米」のような単価が高めのものにその傾向が強い。
家電は「パソコン」が筆頭で11.7%。折しもOSのWindows XPのサポートが今年の4月に切れるため、「せっかくだから」「この機会に」と買い替えの機運が高まっている。それと比べれば「冷蔵庫」「エアコン」「テレビ」などは低め。また、価格が桁違いの「自動車」(厳密には家電などではないが、便宜上含めている)も高い比率で駆け込み購入の対象となっている。
他方、駆け込み購入そのものをしない人も4割強ほどいる。駆け込み的に購入して、利用状況の変化を強いられるほどのものではないと考える人は多い。
テレビの地デジ化でも薄型テレビ業界で生じたが、駆け込み需要が発生すると、その後は反動による需要の冷え込みが起きる。今回の税率引き上げでは引き上げ率がさほど大きくないことから、大規模な動きは無いようだ。「食料・飲料」や「日用品・トイレタリー」の類は半年もすれば吸収されるだろうし、それ以外で際立って高い値を示した「パソコン」は、むしろOS周りの動きによるもので、消費税とはあまり関係が無い(後押しはしているが)。
もちろん「景気」は言葉通り「気」によるところが大きい。消費者の消費性向が減退することは軽んじるべきではない。関係各方面は各種可能な手立てを講じ、景気が腰砕けにならないよう尽力してほしいものである。
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