推計70万人、「引きこもり」になった理由と現状

↑ 狭義で23.5万人、広義では70万人ほどいるとされる「引きこもり」だが…

全国で23.5万人の引きこもり、「準」も合わせると70万人

内閣府が2013年6月に発表した「子ども・若者白書」では、若年層における「引きこもり」についてもデータの掲載・分析を行っている。2010年の時点(これが最新データ)の調査結果を基にしたものだが、それによれば引きこもりを次のように定義している。

1)15-39歳が対象

2)下記状況のいずれかが半年以上継続している者

a)普段は自宅にいるが、近所のコンビニなどには出かける

b)自室からは出るが、自宅からは出ない

c)自室から殆どでない

d)普段は家に居るが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する

(準引きこもり)

※状況のきっかけが統合失調症または身体的な病気の場合、自宅で仕事をしている場合、「ふだん自宅にいるときによくしていること」で「家事・育児をする」と回答した場合は除く

この定義のもとに調査対象母集団に対して調査を行い、単純に人口推計と合わせて換算した結果が次のグラフ。引きこもりは約23万5000人、準引きこもりは約46万人。合わせて広義の引きこもりは約69万5000人という計算になる。

↑ 引きこもり該当定義内容と推計人数(万人)
↑ 引きこもり該当定義内容と推計人数(万人)

ただし今調査は調査員による訪問留置・訪問回収だが、5000人中有効回収数は3287人。今件特性を考えると非回答者には回答者よりも多めの(広義)引きこもり該当者がいると推測されるため、実態としてはもう少し上回るかもしれない。

きっかけは「職場に馴染めず」「病気」「就活失敗」

今件該当者のうちa)からc)の引きこもり該当者に、そのような状況になった理由を複数回答で聞いた結果が次のグラフ。「職場になじめなかった」「病気」が同率で、「就職活動がうまくいかなかった」が続いている。

↑  現在の状況(引きこもり)になったきっかけ(複数回答)
↑ 現在の状況(引きこもり)になったきっかけ(複数回答)

学校関連でのつまづきは(他項目との比較として、ではあるが)少なめで、むしろ就業における問題や病気によるところが多い。特に就業関係は「職場に馴染めない」「就職活動がうまくいかなかった」の双方で2割を超えており、注視すべき状況といえる。また「その他」の事例が1/4を占めていることから、「ひきこもり」化するきっかけは多種多様で、教本通りのパターン化した対応では、対処しきれないことがうかがえる。

一次資料(若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査))を見る限り、個々の人物的な資質の積み重ねと、何らかの大きな人生上のきっかけが相互作用した増幅された結果、引きこもり化したパターンが多いようだ。一例を挙げると、「引きこもり」対象者はそれ以外の人と比べ、自分の感情を表に出すのが苦手な人が圧倒的に多いという具合である。

見方を変えれば、たとえ「引きこもり」の資質を本人が有していても、それが発動する「きっかけ」を乗り越える、あるいはスルーできれば、「引きこもり」化は避けられる可能性がある。

「引きこもり」も「ニート」同様、その状況を維持できる環境が前提となる(特に経済的な面が大きい)。一方、インターネットをはじめとするインフラの普及により、「引きこもり」化しやすい社会となりつつあるのも否定は出来ない。

やや余談になるが「古事記」や「日本書紀」に記されている、アマテラスによる天岩戸への「引きこもり」(天岩戸伝説)は、スサノオの行動がきっかけ。アメノウズメらの踊りによる計略で天岩戸からアマテラスは引き出されるが、その後八百万の神はアマテラスの引きこもり原因となったスサノオを追放する「対処」を行っている。

「引きこもり」対策ではとかくその状態から脱することに重点が置かれている。しかしそれではアマテラスを引きずり出しただけで、スサノオを放置したままにしたのと同じ。再びアマテラスは天岩戸に引きこもってしまう。それと同じで、なぜそのような状態になったのかを周囲が考え、対処をしなければ、「引きこもり」本人は元のさやに戻ってしまうだろう。従って「引きこもり」の状態から抜け出たとして、再び同じ状態に陥らないような「対処」が欠かせない。この点を忘れてはならないのは言うまでもない。

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