今期目標1800万台・ニンテンドー3DSの販売動向をグラフ化してみる(2013年度Q1)

↑ ニンテンドー3DS(海外仕様)

直近四半期では世界で140万台

任天堂は2013年7月31日、2013年度(2014年3月期、2013年4月~2014年3月)第1四半期決算短信を発表した。公開資料には同社が発売している各種ゲーム機の販売動向などが記されている。今回はこれらの資料を基に、同社の携帯ゲーム機ニンテンドー3DS(LL)の販売動向をグラフ化し、現状を把握していくことにする。

まずは同期販売開始の2011年2月26日以降、四半期毎(初年度は年度末間近での発売なので年区切りとなっている)の「日本国内」「米大陸」「その他地域」別の販売台数動向。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(~2013年6月)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(~2013年6月)

現時点で発売開始からの累計販売台数は、全世界で3248万台。今期(連結累計)に限れば140万台(今回発表分は第1四半期なので、今四半期販売台数と同じになる)。そして今期の販売目標は全世界で1800万台

直近の2013年度第1四半期(2013年4月~6月)では、日本国内の販売は前四半期と比べてやや落ち込んだものの、米大陸・その他の地域では比較的堅調に推移。「とびだせ どうぶつの森」「ルイージマンション2」など有力ソフトがハードの普及促進に一役買ったものと思われる。

なお「3DSシリーズ」の中身だが、日本では意外にもいまだに3DSが堅調。一方で北米その他地域では主力はすでに3DS LLに移行している。

↑ 本体販売動向(万台)(2013年4月~6月期、3DSと3DS LL区分)
↑ 本体販売動向(万台)(2013年4月~6月期、3DSと3DS LL区分)

四半期毎のセールスを確認

これを四半期で区切り、各四半期における3地域での販売数を積み上げた形にしたのが次のグラフ。2011年度第1四半期の不調ぶり(全世界で72万台のみ)、そして値下げ効果と年末商戦効果が2011年度第3四半期の大きな上昇気流となったこと(836万台)、さらにはその反動で次の四半期が再び大きく落ち込んだことなど、販売動向がよく把握できる。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(~2013年6月)(四半期推移)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(~2013年6月)(四半期推移)

今四半期は元々セールスが落ち込む時期(4~6月)にあるが、それでも海外勢が伸びたことで前四半期よりは台数を積み上げている。上記にある通り、有力ソフトの展開が、ハード台数を底上げすることがあらためて認識できる。

他方、発売開始直後の2011年はともかく2012年の同期と比べると、前四半期と合わせ販売台数そのものは減退しており、スタートダッシュの勢いはすでになく、厳しい状態にある。今後発売予定タイトルには有力タイトルが相並んでいるが、それらが販売台数をどこまで押し上げるのか、予測は難しい。

そして任天堂のゲーム機(に限らず大抵のゲーム機)では、一度販売台数のピークを過ぎると、よほどの機会に恵まれない限り、前年の実績を上回るのは困難である。次のグラフは昨年分までのデータによって作成したものだが(任天堂ゲーム機の販売動向をグラフ化してみる(主要ハード編))、発売開始から2、3年目で最多販売台数を記録し、後はセールスは減退していく。これは自社共にさらなる高性能機が登場するなど環境の変化で、購入検討者において相対的な優先順位が下がっていくからに他ならない。

↑ 任天堂・国内ハード販売動向(年次、万台)(日本国内)(-2012年)
↑ 任天堂・国内ハード販売動向(年次、万台)(日本国内)(-2012年)

ニンテンドー3DSは3DS LLというマイナーアップデート版が登場したとはいえ、現状では2011年10月~12月を含む2011年度がピークであったように見える(3DS LLに限定すれば2012年度か)。目標は高い方が奮起するものだが、1800万台という値は少々過剰に過ぎる気がする(なお現時点での達成率は8%)。

ちなみに昨年度は目標台数を1850万台から1750万台、1500万台へと下方修正したにも関わらず、結局7%の未達に終わっている。

競合機はPS Vitaよりも……

携帯ゲーム機が発売開始から時期を重ねるに連れて、高性能の競合他社製品や自社製品との争いで、セールスを落としていくのは上で述べた通り。現状では同じ携帯ゲーム機としてはソニーのPS Vitaがそれに該当する。

しかし現状、そしてこれからにおいてはむしろ、子供にとって「ゲーム端末」とは「ゲーム機」なのか「スマートフォン」なのかで解説した携帯電話、特にスマートフォンとの競合がメインとなる。すでに大学生以上における若年層では、携帯ゲーム機では無くスマートフォンが「一番よく使うゲーム機」となっている。スマートフォンが現在急速に高校生達にも浸透を続けていること、そしてゲームを遊ぶ携帯端末としてのスマートフォンの利点(持ち歩きの上で「電話と」だぶらない、ゲームソフト・アプリ購入時のリスクの小ささ、多数の無料ソフトの存在、第三者からの見た目におけるスマートさ)を考えると、今後3DSはさらに厳しい環境にさらされることになる。

例えば昨年大いに話題を呼びミリオンセラーとなった「とびだせ どうぶつの森」は、3DSシリーズでしか遊べない。このような「他に代えがたい魅力を持つ、このハードだからこそ遊べる」ソフトを提供することで、ハード購入を考慮する人は増えてくる。しかし昔と違い今は、単体のソフトの魅力云々とは違う土俵で戦いを挑んでくるスマートフォンが相手となる。状況は極めて厳しいと判断せざるを得ない。

今年度の最大のセールスが期待できる年末商戦において、3DSシリーズがどこまで「背伸び」できるか、動向を見極めたいところだ。